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身に降りかかった「冤罪事件」
「交番お巡りさん」権力乱用
『山田厚史の地球は丸くない』第278回

12月 20日 2024年 社会

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

よもや「当て逃げ」の容疑者にされるとは、思いもしなかった。

咳(せき)が止まらず、熱を測ると37度2分。クルマで5分ほどのショッピングセンターにある診療所に出かけた。「インフルエンザの疑いあり。明日、コロナ感染の疑いも含め検査をしましょう」

クリニックを出たのは正午過ぎ。ふと携帯に目をやると、見知らぬ電話番号が着信履歴に残っていた。コールバックすると「駅前交番のHというものですが、うかがいたいことがありまして」。訝(いぶか)しく思いながら、「ご用件は?」

「『習志野1011』のおクルマはご主人のものですか?」

「その通りです」

「お隣に止めてあったワゴン車が擦られたようなので、来ていただけますか?」

疑いをかけられているとは知らず、二つ返事で駐車場に向かった。 記事全文>>

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流動化する世界の政治
2025年 危機か・好機か?
『山田厚史の地球は丸くない』第277回

12月 06日 2024年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

韓国で戒厳令が発動されるなど、誰が考えただろうか。「真夜中のから騒ぎ」に終わったが、まかり間違えば、現職大統領によるクーデター的独裁が始まったかもしれない。思いもよらぬことが、次々と世界で起きている。

トランプが次期米国大統領になったのは、それなりの理由があるだろうが、驚くことは、アメリカという巨大な政治力を持つ大統領が、自らの野望を満たす手段として権力を使おうとしていることだ。娘婿の父親を駐フランス大使に指名するなど身内びいきが目に余る。

現職のバイデン大統領は、2件の刑事裁判で有罪になった次男のハンター氏(54)に恩赦を与えた。「量刑を軽くするようなことはしない」と言っていたのに、退任間際の手のひら返しである。

公私の区別が付かない人が大統領を務める。核のボタンを持ち歩く人が、この程度であることが恐ろしい。 記事全文>>

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アジア太平洋 撤退する米国
APECに中国の影響力
『山田厚史の地球は丸くない』第276回

11月 22日 2024年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

米国のトランプ政権の誕生に世界は身構えている。自国第一主義、温暖化対策の否定、反自由貿易……。世界秩序に背を向け、引きこもろうとする米国によってできた空白を埋めるのは中国。11月16日までペルーのリマで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合は、この地域の重心が米国から中国へと動いていることをうかがわせた。 記事全文>>

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戻ってきたトランプ
米国「革命前夜」どうする日本
『山田厚史の地球は丸くない』第275回

11月 08日 2024年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

米国の大統領選挙は、トランプが「接戦州」を全て取り、圧勝した。4年にわたる民主党政権への信任投票だった。充満する不安・不満・いら立ちが噴き出し、「取り残され感」を抱く人々に届く言葉をトランプは持っていた。

トランプは勝った。だが、この希代の政治家は「人々の味方」だろうか。期待を寄せた米国の有権者の判断が、問われることになる。

米国有権者の判断は、世界の人々にも影響が及ぶ。日米関係も例外ではない。「自国第一主義」に沿った身勝手な要求が突きつけられることが十分予想される。

日本は、これまでのように「日米関係に配慮し」付き従っていくのか。過剰な要求には応じない「緊張感を持った外交」に転ずるか。選択を迫られることになるだろう。 記事全文>>

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石破解散と自民党の「内戦」
「安倍政治」は終わるか?
『山田厚史の地球は丸くない』第274回

10月 25日 2024年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

10月27日の総選挙を前に、自民党の劣勢を示す調査結果が相次いでいる。石破政権は勝敗ラインを「自民・公明で過半数維持」としたが、メディアは「自公過半数維持は微妙」と伝える。

報道各社は10月の中旬と下旬に、有権者に聞き取り調査を行い、「自民党のジリ貧」があらわになった。21日発表された朝日新聞の調査では、石破政権の支持率は33%、不支持は39%。前週の調査では支持46%・不支持36%だった。1週間で支持は12ポイント減り、不支持が支持を上回った。

NHKの調査でも直近の支持率は41%、前週より3ポイント減。不支持は3ポイント上がり35%となった。この傾向は共同、毎日などの調査でも同じで、「総選挙が迫るにつれ自民党支持が減っている。珍しい事態だ」と関係者は分析する。 記事全文>>

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検察の独善と居直り
袴田さん無罪と捏造捜査
『山田厚史の地球は丸くない』第273回

10月 11日 2024年 社会

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

「4人刺殺の犯人」という汚名に抗して58年間、無実を訴えてきた死刑囚・袴田巌さんが10月8日、晴れて無罪の判決を勝ち取った。

姉の秀子さんら支援者の活動がなかったら、死刑が執行されていたかもしれない。「無罪判決」にホッと胸をなで下ろす気分だが、この日発表された検察トップ・畝本直美(うねもと・なおみ)検事総長の「ビデオメッセージ」にがく然とした。

検察は、判決を批判し、自らの非を認めていない。冤罪(えんざい)を生んだ司法のゆがみに目を向けず、検察組織に潜む欠陥と向き合おうという素振りさえ見えない。この頑迷な独善が続く限り、日本から冤罪事件は無くならない、と強く思った。 記事全文>>

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「異次元緩和の罪と罰」
金融正常化はできるのか?
『山田厚史の地球は丸くない』第272回

9月 27日 2024年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

「ニュース屋台村」執筆陣の1人、元日銀理事の山本謙三さんが『異次元緩和の罪と罰』(講談社現代新書)を出版された。新書と思えない重い中身である。日銀が黒田東彦(はるひこ)総裁の下で、いかに異常な金融政策に手を染めたか。その結果、日本経済は身動きが取れない極めて危うい状況になっていることを淡々と述べている。豊富なデータとこれまでの経緯を紹介し、日銀がしでかしたことを「内部批判者」の視点で書き綴った渾身(こんしん)の一冊である。

「金融政策は難しくて、素人にはわからない」と目を背けがちだが、無関心でいるうちにとんでもない所まで来てしまった。「私たちはこれからどんなツケを払うのか」と本の帯にある。さあ、どんなツケが回ってくるのか。まずは読んで、考えていただきたい。 記事全文>>

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「新聞協会賞」は誰のため
赤旗の後追い朝日になぜ?
『山田厚史の地球は丸くない』第271回

9月 13日 2024年 社会

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

特派員としてロンドンで仕事をしていた時のこと。社内郵便で1通の封書を受け取った。差出人は、駆け出しのころ一緒だった社会部記者だった。

「懇意にしている検察幹部が、秘密会議でロンドンを訪れる。私的な旅行を装うため、奥様を同伴する。会議中、奥様ひとりになるので、申し訳ないが、市内の名所旧跡など案内してもらえないだろうか」

そんな内容だった。「大事なネタ元だから、よろしく」とあった。

彼は検察庁を担当していた。役所で昼間会えない検察幹部の家を夜訪ね、検察の動きを探る。家に上げてもらえる関係を作り、親しくなると相手がいなくても、奥さんと世間話をしながら帰宅を待つ。そんな夜回り取材から、ロンドンの会議を聞きつけ、「奥様、ご心配なく。うちの支局の者に案内させますから」と請け負ったらしい。 記事全文>>

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中国軍機の領空侵犯
怖いのは民意の暴発
『山田厚史の地球は丸くない』第270回

8月 30日 2024年 社会

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

中国軍の偵察機が日本の領空に入ったことが大騒ぎになっている。

「これ、マジで戦争一歩手前だよ! 政府は重要性がわかっているのか!!」。怒りを込めてXに書き込んだのは、作家の百田尚樹日本保守党代表。玉木雄一郎国民民主党代表は、自民党が総裁選をやっていることを挙げ、「権力の移行時期に領空を犯す行為を仕掛けるのは、偶発的行為ではなく、計画的かつ戦略的な行為。中国には厳重に抗議する」と語った。

領空侵犯が起きたのは8月26日。九州・長崎県西方の空域に中国軍の情報収集機「Y9」が飛来、午前11時29分から2分間、日本の領空に侵入した。その後しばらく周辺を旋回し午後1時15分、中国方向に飛び去った。緊急発進(スクランブル)した航空自衛隊の戦闘機が中国機に警告を発したが、応答がないまま領空に入ったという。 記事全文>>

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総裁選断念 岸田首相の大罪
戦後を戦前に変えた米国追従
『山田厚史の地球は丸くない』第269回

8月 16日 2024年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

8月14日午前、テレビ画面にニュース速報が流れた。「岸田首相、総裁選に立候補せず」。一瞬、驚いたものの、ひと呼吸おいて考えれば、「出馬断念」以外に選択肢はなかった。大統領選を断念したバイデンと同じである。本人はまだやりたかっただろうが、出馬しても勝ち目は薄い。敢えて再選にこだわれば自民党内で顰蹙(ひんしゅく)を買うだけである。

世論調査が弾き出す支持率は20%台。6月の国政補欠選挙では3つの選挙区で一つも取れなかった。岸田文雄総裁・麻生太郎副総裁・茂木敏充幹事長が自民党を仕切る3頭政治の足並みはもつれていた。岸田に勝機があったとすれば、麻生が接着剤になって「次は茂木で」と密約を交わし、3派の結束を固めて多数派工作に突き進む以外なかった。仮に、それで勝ったとしても、先に展望はない。

「岸田再選・首相続投」となれば、世間はしらけるだろう。党内政治の手練手管で権力を維持しても「変わらない自民党」への風当たりは強まるだけ。来年7月の参議院選挙でボロ負けし、責任をとって辞める、というのがオチではないか。地方組織からは「岸田で選挙は戦えない」との声が上がっている。 記事全文>>

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