バンコク週報
1976年10月創刊のタイで発行する日本語新聞。在タイビジネスマンに向けてタイの政治・経済・社会ニュースから人物紹介まで多彩なコンテンツを提供している。
かつて繊維産業の一大中心地であった愛知県一宮市の近郊で、毛織物工場から出発したコイワボンドマニファクチャリング。現在は同県江南市に自動車シート用のボンディング(貼り合わせ)・ラミネート加工などを行う工場を構える。海外拠点としては中国・上海に次いで2カ所目となるタイ現地法人コイワボンド(タイランド)(以下、KBT)を2004年2月に設立。東部プラチンブリ県にあるカビンブリ工業団地内の工場でラミネート加工を開始した。
日系自動車メーカーの増産もあり、事業は順調に拡大。10年7月に生産を増強する目的で、周辺に多くの納品先(ティア1)が集積するチョンブリ県のピントン工業団地内の工場(建屋床面積2000平方メートル)に移転した=写真。
翌年1月に増資し、ウレタン製造の東洋クオリティワンと台湾系企業、喬福との合弁会社となった結果、安定して材料調達が可能となり、現地調達率は現在、100%を誇る。
◆13年度は49万台分の自動車用シートを加工見通し
自動車用シート材は主に、ファブリック(生地)と本革仕様に大きく分類される。佐橋英浩マネージングディレクターによると、日本では(大衆車に使う)ファブリック製品が、海外では高級感がある本革仕様の製品が、それぞれ好まれる傾向にある。また、好まれるシートの色も各地域で異なるという。
KBTは、ガスバーナーの炎でウレタンフォームの表面をあぶり、溶かし、生地である表皮材(ファブリック)と貼り合せるラミネート工法を採用する。
加工量は、09年度の53万メートルから12年度には127万メートルに増産。13年度は190万メートルとなる見通しだ。1台当たり4、5メートルで計算すると、実に49万台に使用されることになる。
また、タイ・日本・中国を合わせた全加工量に対する割合も高まる見通しだ。加工されたシートは、タイで製造している日系自動車メーカーの商用・乗用車に使用されている。
現在、競合企業は日系・ローカルで4社。「小規模で小回りが利くので顧客の要望に対応できる。身の丈に合った経営を行っていきたい」と謙虚な姿勢を見せる。同工場は海抜数十メートルの場所にあり、洪水の心配はないという。
「社員25人(うち日本人1人)だと、健康診断の費用の単価が高い。工業団地に入居する他の日系企業の従業員らと計約300人で合同実施する」など、経費削減にも工夫を凝らしている。東部地域では人手不足が深刻化するが、佐橋マネージングディレクターは「遠くに移転しても、ついてきてくれた社員がいる。工場の要となる彼らを大事にしていきたい」と話している=写真は、佐橋氏(中央)とタイ人社員。
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