п»ї スタジオ・ビーム・インターナショナル日系進出企業紹介『おじゃまします』第3回 | ニュース屋台村

スタジオ・ビーム・インターナショナル
日系進出企業紹介『おじゃまします』第3回

10月 11日 2013年 経済

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バンコク週報

1976年10月創刊のタイで発行する日本語新聞。在タイビジネスマンに向けてタイの政治・経済・社会ニュースから人物紹介まで多彩なコンテンツを提供している。

「小さくても強い会社」をモットーとするクリエーティブ企業「スタジオ・ビーム」(本社・大阪市中央区)。1971年の設立以来、パッケージ・グラフィックデザイン、セールスプロモーションなどのデザイン・企画を手がけてきた。日本では大阪と東京に事務所を構えるが、2010年7月、タイに関連会社「スタジオ・ビーム・インターナショナル社」を開設した。

タイでの営業品目はまず、グラフィック・パッケージデザイン。例えば、セールスプロモーション・ツールをコストの安いタイで制作し、日本やシンガポールなどに出荷する。このほか、タイ企業に対し、会社案内、製品カタログなどを制作・納品している。

一方、同社がタイでの重要なサービスと位置づけるのは、カラーコンサルタント業務だ。これは顧客企業のカラーマネジメントを請け負うもので、印刷会社への技術的サポートおよび立ち会い印刷などにより、パッケージの品質向上を支援する。

この分野の主要取引先となるのが、一般消費財メーカーのグローバル企業だ。実はタイ進出も、取引先企業が、日本工場からタイ工場に生産を一部シフトするにあたり、包材関連業務も移したことによる。

この包材のタイ生産で問題となったのが、色の管理だ。毛染め剤のパッケージは、日本の印刷会社でさえ色の管理が簡単ではない。その難易度の高いカラーコントロールをタイの印刷会社で実践するためタイを頻繁に訪れたことが、タイ進出の契機となった。

◆積極的な指導やコミュニケーションが必要不可欠

同社は現在、タイ人グラフィックデザイナー4人を雇用する。「デザイン技術は日本と比べて遜色ない」という。

しかし、問題は印刷技術。同社は印刷を地元の印刷会社にアウトソーシング(外部委託)している。日本本社と兼任する前田浩貴社長(写真、右から3人目)は「印刷会社とのコミュニケーションは苦労の連続」と苦笑する。

受注したにもかかわらず、「できない」と簡単に言われ、途中で投げ出されたこともあった。前田社長は「印刷機器は最新であるが、オペレーターの技術向上心が低い」と手厳しい。日本では当たり前の技術向上の意欲も、タイの会社では低いため、積極的な指導やコミュニケーションが必要不可欠となる。

顧客からの委託業務がタイ進出の引き金となったものの、海外進出はそれだけが理由ではない。デザイン業界は人件費がコストに直結するため、将来を見据え、労働力の安いタイをグローバル展開の拠点にしたい、との青写真もあった。

コストの安いタイだからこそ、採算の取れるのが、プレゼンテーションの段階で使用するモックアップ(原寸模型)の制作だ。製造業と同じで、小ロットの印刷は高くつくため、日本では採算が取りにくい。拠点をタイにもつ優位性が発揮される分野だ。

一方、日本からアジアに進出している企業もデザインをそれぞれの国にあわせてコントロールしていくことは簡単ではない。「海外展開により各国のローカルデザインに落とし込む過程で、現地とのコミュニケーションなどで苦労していると聞く。スムーズなパッケージ開発を当社がサポートしていきたい」(前田社長)と力を込める。(倉林義仁記者)

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