п»ї スノーデンさん、教えてよ『山田厚史の地球は丸くない』 | ニュース屋台村

スノーデンさん、教えてよ
『山田厚史の地球は丸くない』

7月 17日 2013年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹

40年間、朝日新聞で記者をしてきた。ヒトサマの職場に入り込み、あるいは自宅前で夜待ち構え、話を聞く。「聞き出す」のが仕事だった。 霞が関を担当する機会も多かった。記者クラブ発表の枠外のニュースを追えば、公務員が職務上知り得たことを漏洩させることが必要になる。厳密にいえば「公務員法違反の教唆」が日常業務だった。

某中央銀行で友人が総裁秘書役に抜擢された。「よかったねぇ」と言葉をかけたら「とても辛い仕事だ」と言う。

「知ってしまった機密情報を誰にもしゃべれないのが辛い」

他人が知らないコトは、話したくなるのが人情。喋ってスッキリしたいけど、言ってしまうとまずいことになる。秘密を知る人は懊悩する。そこを緩やかに武装解除させるのが記者の職務だ。

教唆しなくても暴露する人が時々いる。知ったことを腹に収めきれない。正義感、職場不信、動機はいろいろだが、総じてテンションの高い人、高揚感を喜びとする人が決然と立つ。

◆スノーデン氏が投じた一石

米国の情報機関・国家安全保障局(NSA)の秘密活動を暴露したエドワード・スノーデン氏に世界が注目している。「ビックリした」というより「やはり――」である。

ネットに流れる情報は、常に覗かれる危険にさらされている。巧妙な検索システムが、意味ある情報を掴み取る。「テロとの戦い」と言えば、何でもありのアメリカだ。

「自己顕示欲が強く、ヒーロー気取りの典型的な性癖」。スノーデン氏をそう評し、ゆがんだ個性による裏切り、というような発言が米国に目立つ。人権に熱心な アメリカでさえ、こんな調子だ。いやアメリカだから、なのかもしれない。 先住民を滅ぼし、黒人を酷使し、虐げた人々からの仕返しを恐れる白人社会。黒人のオバマが大統領になっても、権力に休息はない。

◆日本は安閑としていられるか

と書くと、この問題は海の彼方の出来事のように思えるが、日本は安閑としてはいられるだろうか。新聞報道によると、NSAの分遣隊は米空軍の座間基地や三沢基地に分遣隊があり、経済情報の収集に当たっている、という。情報機関が集める経済情報って、産業スパイとどう違う?

標的は経済情報だけなのか。永田町や霞が関の極秘情報が狙われている、と考えるのが自然だろう。米軍基地がわが首都圏にたくさんある。思いやり予算は提供しながら、日本の主権が届かない治外法権の中で、情報活動が行われている。

日本の政治家は、なぜアメリカに頭があがらないのか。日本に勤務していたスノーデンさんに、ぜひ聞いてみたい。


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