東洋ビジネスサービス
1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。
今回は、トラブルはトラブルでも、日本から卒業旅行に来た学生のトラブルとその予想外の顛末(てんまつ)についてご紹介します。
◆「見つかるわけない」と失笑される
友人4人でバンコクに卒業旅行に来ていた学生が、市内アソーク交差点でタクシーを降りました。タクシーを降りてほどなくして、このうちの1人がスマホが見当たらないことに気がつきます。先ほどのタクシーに置いてきてしまったようです。
大事なスマホを見つけるために、まずは目に入ったアソーク交差点のポリスボックスに駆け込みました。こちらは信号を操作する場所のようです。警官からは「乗っていたタクシーのナンバーがわからなければ調べられない」とけんもほろろの扱いを受けてしまいます。それでも言葉が通じる場所でなんとか助けてもらおうと思い、目に入ったシェラトンホテルに駆け込みますが、「なくなったスマホが見つかるわけがないだろう」と従業員に失笑されてしまいます。
途方にくれた彼は、アソーク交差点近くのバーに入りました。困った顔から何かを察したらしいタイ人店員が話を聞いてくれます。どうも知り合いの日本人に連絡をしているようです。
呼び出されたタイ人店員の知り合いの日本人に、オレンジ色のタクシーの前の座席に座っていたことやタクシーを降りた時間と場所を話すと、店員に伝えてくれたようです。
「大丈夫だ。スマホは見つかる」となぜか自信のありそうなタイ人店員とは対照的に、スマホはなくなったものとして慰めてくれた日本人からビールをごちそうになります。次の日は帰国予定ですが念のため、この日本人に連絡先を渡し、もしも見つかったら送ってもらう手はずになりました。
◆タクシーラジオでの呼びかけが奏功
せっかくの卒業旅行でスマホをなくしてしまい、やや残念な帰国です。ところが、日本に着いた彼はうれしい知らせを受け取ります。タイでスマホが見つかったようです。事情を聞くと、なくしたスマホはラジオ局に届けられていたということです。
バーの店員は学生から相談を受けた夜のうちにラジオ局に連絡し、タクシーラジオで呼びかけたそうです。翌日にはタクシーから連絡があり、スマホはラジオ局に届けられました。暗証番号を教えてもらっていたタイ人店員がラジオ局で暗証番号を解除し、本人の代理であることが認められ、代理で受け取りました。そして、次の日に日本に帰るという日本人の友人を通して、スマホは無事に学生の元に戻りました。何ともうれしい驚きです。
バンコクのタクシーで物を忘れてしまった場合は、警察で見つからなくともラジオで探してもらうことができるという、信じられないようなトラブルの解決でした。日本は遺失物が見つかりやすいということで有名ですが、タイでもこんなことが起こるようです。
とはいえ、皆様、忘れ物には十分注意してください。そして、何かトラブルがありましたら、いつでも弊社にご相談ください。
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