東洋ビジネスサービス
1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。
今回は、タイで働く際に必要となる労働許可証(ワークパーミット、WP)に関する法改正とそれに伴うトラブルについてご紹介します。
2017年6月に発布された外国人就労管理に関する緊急勅令 「Emergency Decree on Managing the Work of Aliens B.E. 2560 (2017) 」により、タイ国内で就労する外国人を規制する以下の二つの法律が廃止されました。
1.「仏暦2559 (2016) 年 外国人のタイ国内就労目的での入国に関する緊急勅令」 (Royal Decree on Bringing Alien to Work in the Kingdom B.E. 2559)
2.「仏暦2551 (2008) 年 外国人就労法」(Alien’s Work Act B.E. 2551)
緊急勅令では罰則規定が大幅に強化されており、外国人労働者とその雇用企業に不安・混乱が生じたため、国家平和秩序維持評議会(NCPO)は同年7月に、罰則の施行を延期したうえで、2018年3月、仏暦2560(2017)年外国人就労管理に関する緊急勅令を改正する緊急勅令を立法・施行し、規制を緩和しました。
一連の改正によって、ワークパーミットの取得についても変更が生じました。タイで働く駐在員事務所の所長はワークパーミットの取得が不要となり、また、元来簡素化されていたBOI企業のワークパーミットの申請方法が「シングル ウィンドウ」というオンラインでのシステム経由となり、発行されるワークパーミットは従来の冊子形式ではなく、スマートフォンアプリにダウンロードすることになりました。つまり、駐在員事務所長とBOI企業に勤務する外国人は従来のワークパーミットを持たなくてもよいことになりました。一見、便利な変更に思えますが、弊害も出てきています。以下、具体的な事例でご紹介したいと思います。
事例①:銀行口座開設時のトラブル
個人で銀行口座の開設を申請する際にワークパーミットの冊子での提示を求められ、口座開設できませんでした。偶然にもBOIのワンストップサービスのオフィスと同じチャムチュリスクエア内の銀行支店での申請だったため、BOIの係官に依頼し、直接銀行の窓口で行員に新システムの説明をしました。
事例②:ビルの入館時の身分証明
ビルの入館時、セキュリティーのために預けるIDとしてワークパーミットを使えなくなりました。これまでワークパーミットを身分証明として預けていたのに、パスポート原本を持ち歩かなければいけなくなりました。
〇結論
上記2件の事例からもわかる通り、タイでは、このようなレギュレーションの変更の際に、役所の縦割りや周知不徹底により混乱が生じる場合が多くありますので注意が必要です。何かトラブルがありましたら、ぜひ弊社にご相談下さい。
コメントを残す