東洋ビジネスサービス
1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。
今回は、税関の追徴課税に関するトラブルについてご紹介します。これまでも何度かご紹介しているタイの税関ですが、手ごわい相手のため色々な事例をご紹介したいと思います。
税関の担当官は日本人が想像するよりもかなり有能です。データベースで会社ごとに履歴を管理しており、実績の疑わしい会社はじっくりと泳がせて忘れたころにごっそりと大きくなった追徴金とさらに罰金を課すのが、彼らの常套(じょうとう)手段です。特に、自由貿易協定(FTA)やタイ投資委員会(BOI)による優遇措置、今後のASEAN経済共同体(AEC)や環太平洋経済連携協定(TPP)などのスタートでさらなる税収減が予想される税関としては、厳しく取りたてをしなければならない環境のようです。
◆細かく規定されている輸入物品の取引価格
最近は、税関からライセンス料やロイヤルティーを関税評価額に含めるように指導されたというお問い合わせが増えてきています。「どのような形をとると関税への加算を抑えることができるのでしょうか」とのA社さんからのご相談です。
そもそも大ざっぱに言うと、関税は商品価格に一定量の税率を掛けて算出されます。同じ会社内での取引がある場合には「関税を節約するために本社とタイ会社間では商品価格を低めに設定しておこう」などと考えてしまいがちですが、タイの税関にはすっかりお見通しです。
タイの税関は1988年から、「商品の名称及び分類についての統一システム」(通称HSコード)に基づいて関税を徴収しています。2000年に世界貿易機関(WTO)の関税評価制度に従った制度を導入する際に、関税法の改定に伴い、財務省令が発布されました。
この省令により、輸入物品の取引価格とは「輸入物品に対して実際に支払われる額」とされ、輸入物品の取引価格として輸入物品に関連するロイヤルティー、ライセンス料、保険料、配送料、仲介手数料、コンテナ経費、梱包経費、サービスなどもすべて加算されることが事細かく定められています。
◆税関当局と良好な関係を構築、修正申告を上手に利用
もしも、輸入通関後の事後調査で過少申告を指摘された場合にはどうすればいいのでしょうか。
商品の価格だけで税金を計算していたのに、ハンドリングチャージなど通関後の請求があるかもしれません、ライセンス料やロイヤルティーが発生する場合もあるかもしれません。その場合には改めて申告する必要があります。申告した以外に関連した支払いが発生したが、加算の対象とならない支払いであると主張する場合には、その理由を税関に明確に説明することが肝要です。
税関では、自主的な申告を奨励するために期間を定めて修正申告を奨励する制度を取っています。もしも意図せずに過少申告となっていた場合には、次の特別修正申告の期間がいつになるのかを確認しましょう。
そのような情報を入手するためにも、是非とも担当地区の税関担当者とはやり取りを密にして良好な関係を築くことが重要です。
コメントを残す