п»ї 先が見えないからこそビジョンを描く『経営コンサルタントの視点』第14回 | ニュース屋台村

先が見えないからこそビジョンを描く
『経営コンサルタントの視点』第14回

11月 07日 2014年 経済

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中野靖識(なかの・やすし)

株式会社船井総合研究所上席コンサルタント。メーカーから小売業まで幅広いコンサルティングフィールドを持つ。一般消費者向けの商材を扱う企業の現場レベルでの具体的な販売手法の提案を得意とする。

日本国内では、米国が量的緩和の終了を提示する中、日銀による追加金融緩和が発表され、株価上昇と同時に円安が進みました。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がリスクを取る投資をするという意思決定がなされたことも株価上昇に寄与しているものと思われます。

経済産業省が平成26年8月の商業統計調査結果を公表していますが、商業販売額全体は36兆8470億円、前年同月比1.6%の減少で、卸売業、小売業別にみると、卸売業は25兆3920億円、同2.8%の減少、小売業は11兆4540億円、同1.2%の増加となったと記載されています。

また、ちまたでは「雇用情勢は着実に改善している」とされていますが、総務省統計局の労働力調査を見ると「正規の職員、従業員数は3324万人で前年同月に比べ2万人の減少」「非正規の職員・従業員数は1936万人、前年同月に比べ36万人の増加」となっており、職には就けるが正社員にはなれないという事象が拡大しているように見えます。

5月の完全失業率全体は3.5%とされている一方、15歳~24歳層は6.3%で、人員不足ではあるが、正規雇用は増やさない、つまり人件費は変動費にしておきたい企業の姿勢が明確化しつつあります。

◆円安に賛否両論 要は「誰もわからない」

この環境下で円安になると、国内消費財メーカーのうち原材料を輸入に依存する国内メーカーは、為替の影響で商品価格を上げなければならなくなると同時に、輸入商品で価格調整していた小売業も価格を上げざるをえなくなります。一方、輸出企業や海外旅行客による小売業の販売増加についてはメリットが出始めていますので、政府はトータルでは良い傾向になると主張しています。賛否両論が入り乱れて議論されていますが、経済政策、動向に対して専門化の意見が分かれるということは、要するに「誰もわからない」ということと理解しましょう。

国内市場構造、消費行動といった外部環境が刻々と変化し、実質的に予測不能の時こそ、自社の意志である明快なビジョンを持つべきだと思います。次世代のための価値創造のシナリオを描くことが、企業を進化させていく原動力になると言えるでしょう。外部環境変化に可能な限り備え、自社をどのように成長させていきたいのかを検討し続けることが、次世代を担う経営幹部に課せられた使命だと考えましょう。

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