東洋ビジネスサービス
1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。
今回は、タイでの公的文書サインのトラブルについてご紹介します。
タイは日本のような印鑑社会ではなく、サイン社会のため、会社の代表は様々な書類や小切手などに毎日大量のサインをすることになります。省庁への公的文書についても、日本では代表者名が入った社判と社印を押捺(おうなつ)するのが一般的ですが、タイでは、サイン権者のサインと社印が必要となります。
社判、社印の押捺は、摩耗(まもう)しない限り同一と見られますが、サインについては、あまりに大量の署名にサインをしている時などは、一部サインが崩れてしまうこともあるでしょう。ところが、タイの省庁では、署名されたサインが登録されたサインと同一であるかについて、資料を一枚ずつ確認するため、登録されたサインと異なるとして指摘を受けることがあります。
◆いつも丁寧なサインを心がける
A社は、商務省に申請書類を届け出た際に、署名したサインについて、登録されたサインと異なるとの指摘を受け、受理されませんでした。A社のサイン権者B氏は、タイ国外におり、速やかにサインを行うことが難しい状況です。
そこで、B氏はサインをしている状況を撮影した動画を添えて、申請書類を再度商務省に届け出ました。商務省の担当官は、動画を視聴した結果、形が崩れた字体のサインもB氏によるサインであろうことは理解を示したものの、やはり署名されたサインと登録されたサインが異なるとの理由で、受理を拒否し、サイン権者B氏に再度サインを行うよう指示しました。結局、サイン権者B氏は、サインを行うためにタイに来て、再度サインをすることになりました。
サイン権者は、省庁への申請書類にサインを行う際には、自身のサインの特徴を意識してサインを行うことが重要になります。特に、サイン権者がタイ国内に常駐していない場合には、省庁から登録されたサインと異なるとして再度サインするよう指摘された場合は、大変手間と時間がかかります。十分注意して丁寧なサインを心がけましょう。
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