п»ї 厳しくなった労働許可証の取得手続き『実録!トラブルシューティング』第30回 | ニュース屋台村

厳しくなった労働許可証の取得手続き
『実録!トラブルシューティング』第30回

5月 20日 2016年 経済

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1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。

今回は、タイで働くために必要なワークパーミット(WP)の手続きに関する動きについてご紹介します。タイでは現在、2014年5月のクーデター後に就任したプラユット首相の軍事政権下で、様々な分野で法律及び諸手続きが厳しくなっています。

WPの受け取りに関して、以下の通達がありました。

「通達 2016年4月28日より、労働許可証(WP)の受け取りは、申請者本人が書類に記載されている受け取り日に出頭する必要があります。受け取り日を過ぎた場合、申請者は受け取り権利を放棄したとみなし、関連機関が調査をすることになります。」

◆指定された期日に出頭すべし

WPの受領についてはこれまで、ある程度の日程調整が可能でしたが、今後はそうはいきません。労働許可証を申請したら、常にスタンバイ状態にあるべきで、いつ連絡が来ても指定された期日に出頭しなければならなくなりました。大変厳しいように感じますが、考えてみるとこれは当然ともいえます。

そもそもタイにおいて、外国人は労働許可証を取得しているから働けるのであって、本来ならばWPの受領前にはいかなる「仕事の予定」も入っているわけはありません。このような観点からすると、もちろん日程の調整など必要はありません。移民局から指定された受領日時には、いつでも受け取に行ける状態であるべきでしょう。

この通達とは別に、20代前半の若い駐在員はもともと、タイでは労働許可証の取得が難しくなっています。根底にはタイ人の雇用を守るという思想があり、そもそもタイでの外国人の雇用は「タイ人が出来ないような仕事をする」ということが前提となっているためです。新卒や経験が浅い人がタイ人よりも優れた仕事ができるとは思えないという意味でしょうか。

労働許可証の取得のためには5年程度以上の職歴が一つの目安となっています。弊社の事例では、中卒、高卒でも十分な職歴と経験があれば、問題なく労働許可証が取れています。

◆とにもかくにも法令を遵守すべし

WPとセットで語られることの多いビザ(査証)ですが、もちろんこちらも最近、発給審査などが厳しくなっています。弊社の社員が休暇で日本に一時帰国した際、羽田空港でトラブルが起こりました。航空会社のカウンターでいつものようにスーツケースを預けた際に、何度も何度もパスポートを確認されます。

ほかの家族は普段通りの手続きがすでに完了しています。弊社の社員のパスポートだけ何か問題があるようです。しまいには、航空会社のカウンターに上司も呼ばれています。カウンターで、搭乗券を発行する際にビザの情報を入力するのですが、弊社社員のビザ情報を入力するとアラートが出て、次に進めないとのことです。

手続きが次に進めないということは、すなわち搭乗券が発行できないということです。最悪の場合には、飛行機に乗れない事態も頭をよぎりました。しかし最終的には、航空会社がタイの当局に問い合わせをした結果、弊社社員のビザが正規のものであることが判明し、無事にタイに戻ることができました。ビザの情報が誤って入力されていたのでしょうか。原因はわかりませんが、肝を冷やしたケースでした。

このように、様々な面で手続きなどが厳しくなってきておりますが、そもそもは、いままでがあまり厳格でない運用で諸手続きを済ませていたという考え方もあります。

日本企業は外国であるタイで仕事をし、タイの法律で許可をもらって滞在・就労をしているのですから、タイの法令遵守(じゅんしゅ)は当然です。これまでも、そしてこれからも、コンプライアンスに従って諸手続きを進めていれば、それほど心配しすぎる必要はありません。

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