東洋ビジネスサービス
1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。
今回は、これまでも何度かご紹介してきた労働許可証(ワークパミット、以下WP)について、弊社内で起きた重大なトラブルをご紹介します。
タイで、日本人を含めた外国人が働くためにはWPを取得する必要があります。弊社は日本から進出する企業を顧客とし、毎日ビザやWPの取得のお手伝いをしています。もちろん、弊社で働く日本人は全てWPを取得し、合法的に働いている、ハズです。
◆役職変更の申請手続きの時間差に原因
ところが、信じられないことが起きました。弊社代表の梅木が、ある協会の理事に就任するために必要な登記手続き中に内務省から身元調査の一環でWPに関する照会が入った際、梅木のWPが失効しているというとんでもない事態が発覚したのです。
弊社はタイ投資委員会(BOI)の奨励を受け、BOIのシステム上でWPの取得手続きをしています。BOIでWPを取得する際には、事前に会社ごとに「ポジション申請」という役職を登録し、BOIによる審査を受ける手続きが必要です。会社ごとに申請された役職表を基に、BOIは個人のWP申請を審査するという流れとなります。今回の事態はちょうど、弊社内で役職の交代手続きの最中に起きたものでした。
BOIのシステム(https://e-expert.boi.go.th/)上で、役職を交代する手続きはいったん、現状の役職でのWPをキャンセルし、新しい役職でのWPを新規に申請するというものです。なんとこの短いタイムラグに、ちょうど内務省からの問い合わせが入り、梅木はWPを保持していない状態でタイ国内で働いているとみなされてしまったのです。
◆ウェブ上で簡易にできる手続きの盲点
もちろん事情を説明し、現在手続き中となっているWPのキャンセル手続きの中止を手配しましたが、問題はそう簡単には解決に至りません。結局、BOIの仕組み上の問題を内務省に説明して納得していただきました。
そもそも、正規の手順で手続きを進めているのに、タイ国内で働いている代表者にWPの空白期間が出来てしまうという制度は信じられないのですが、更にその手続きがウェブ上でIDとパスワードで済んでしまううえ、ミスをした場合の取り消しが「絶対」にできないというのも大問題です。
手続きが簡易に出来るのは良いのですが、逆に言うと、担当者が何かの腹いせに日本人のWPをわざとキャンセルしてしまうという恐れもあります。また、担当者が退職した後も、どこからでもアクセスが出来てしまうという点も問題です。
IDとパスワードの管理は日本人代表者の責任です。IDとパスワードを渡す担当者をしっかりと管理し、パスワードは適宜変更するようお勧めします。
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