東洋ビジネスサービス
1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。
はじめまして。東洋ビジネスサービスです。この度は「ニュース屋台村」という、またとない情報発信の機会を頂き、誠にありがとうございます。弊社は監査法人としてタイに進出する様々な日系企業のサポートをしています。日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命として、タイにおける日系企業の経営支援をしています。
毎日多様な業種の広範囲にわたるご相談を受ける中には、信じられないようなお話もしばしばあります。これから皆さまの身にもふりかかるかもしれない嘘(うそ)のような本当の話を「ニュース屋台村」で『実録!トラブルシューティング』としてご紹介したいと思います。転ばぬ先の杖として、トラブルが起きてしまった後の対応方法も含めてご一読頂ければ幸いです。
◆普段から敵をつくらないように気をつける
記念すべき連載の第1回は、タイの首都バンコクのビジネスセンターであるアソークの、とある駐在員事務所で、客先との打ち合わせ中に青天の霹靂(へきれき)で警察に連行された駐在員Aさんのケースについて、お話ししたいと思います。
いつも通りの暑い一日、打ち合わせ中に突然踏み込んできた警察に連行されたAさんですが、その容疑は「外国人就労法違反―ワークパーミット(労働許可証)に記載されている住所でない場所で就労していたため」とのことです。Aさんは正式にワークパーミットを取得し、勤務先の会社の住所が記載されたワークパーミットを携帯していました。取引先での打ち合わせの度に就労法違反を問われていては仕事になりません。一体何が起きたのでしょうか?
ここでトラブルシューターの出番です。事件の背景を調べたところ、現場となった駐在員事務所の前入居者である日系企業のトラブルがそもそもの発端でした。前入居企業の従業員からの内部通報をもとに出動した警察が踏み込んだ先には、すでに別の会社が入居していました。
そこで手ぶらで帰るわけにはいかない警察が目をつけたのが、打ち合わせに居合わせた不運なAさんだったというわけです。提示したワークパーミットの住所の記載を見て「就労許可のない場所で就労している外国人」と見なされたAさんは、外国人就労法への違反を問われたという顛末(てんまつ)でした。その後、Aさんはその会社には打ち合わせのために訪問していたので就労の事実はないことを証明して、無事に釈放されました。
警察がらみのトラブルでは、内部通報によるものが一番多いといわれています。どこからどんな火の粉が降ってくるのかは分かりません。普段から敵をつくらないように気をつけることが最も重要といえるでしょう。特に取引先との人間関係、従業員とのコミュニケーションにはくれぐれも気を付けて毎日をお過ごしください。
最後にAさんを無事に釈放する根拠となった資料をご紹介します。
Aさんの釈放の根拠は「外国人が単に企業の”視察・商談担当者”の立場で」「業務創出に関与することなく入国する場合、2008年外国人就労法に基づく就労に該当する活動を行う外国人とはならない」との解釈です。
社外での打ち合わせには、ワークパーミット、パスポートのコピーと共に、今回添付した資料を日本語、タイ語にてプリントアウトして携帯し、もしもの場合には提示できるように準備しておくと良いでしょう。
※資料1 ビザ・ワークパーミットについて(タイ語原文)
※資料2 ビザ・ワークパーミットについて(日本語訳)
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