п»ї 家族のビザは大丈夫?『実録!トラブルシューティング』第27回 | ニュース屋台村

家族のビザは大丈夫?
『実録!トラブルシューティング』第27回

3月 18日 2016年 経済

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東洋ビジネスサービス

1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。

今回は、駐在員家族のビザに関するトラブルについてご紹介します。タイで仕事をする駐在員は、ビザを取得してタイに滞在する許可を得たうえで、ワークパーミット(労働許可証)を取り、タイで労働する許可をもらって仕事をしています。トラブルは、駐在員としてタイで勤務していたAさんが他国へ転勤した後もお子様の学校の都合上、奥様とお子様がタイに滞在していたことから起きました。

◆ひも付きになっている駐在員と家族のビザ

Aさんが勤務していた会社のタイ人スタッフから弊社のタイ人スタッフに緊急の連絡が入りました。Aさんの奥様とお子様は有効期限の残っているビザをきちんと持っているはずですが、移民局からある日突然、不法滞在との指摘を受けたようです。全く意味がわからないというお問い合わせでした。状況を確認すると、タイ人スタッフがAさんの異動に伴いワークパーミットをキャンセルしたことがわかりました。このため、奥様とお子様をすぐに出国させるようにアドバイスをしました。

どうしてこんなことになってしまったのでしょうか。Aさんのビザは駐在員を含めタイで就労するためのノンイミグラント-Bビザで、就労のためのワークパーミットも取得していました。そして、ご家族はタイで正規就労する外国人の配偶者・扶養家族のためのノンイミグラント-Oビザを取得していました。

Aさんのノンイミグラント-Bビザはワークパーミットとひも付きになっているため、ワークパーミットをキャンセルすると自動的にノンイミグラント-Bビザも失効します。そうすると、Aさんのノンイミグラント-Bビザにひも付きになっているご家族のノンイミグラント-Oビザも失効してしまいます。このことに気がつかずにご家族がそのままタイに滞在してしまっていたのです。

タイでは、日本人を含めた外国人がワークパーミットを申請するためには、原則として三つの条件があります。まず、会社の資本金が外国人1名に対して200万バーツ以上であることです。次に外国人1名に対してタイ人4名の雇用が義務付けられています。最後に日本人の場合は月給5万バーツ以上相当額の所得税の納税義務があります。

この条件に従うと今回のケースは、Aさんと後任者のワークパーミットを同時に申請できないため、まずAさんのワークパーミットをキャンセルしなければ後任者のワークパーミットを申請できない状況でした。Aさんのビザとワークパーミットのキャンセルとは、すなわち就労するAさんのご家族という立場でのビザが失効します。会社側としては後任者のワークパーミットを取得することが最優先ですので、Aさんのご家族のビザの状況までは気が回らなかったのかもしれません。

◆家族を帯同する場合は特に入念に計画を

お子様連れの駐在員は赴任や帰任の時期については、ビザやワークパーミットの手続きについても相談しながら事前に是非ともしっかりと計画を立てることが重要です。

ちなみにタイの日本人学校(バンコク校とシラチャ校)は児童生徒数が計3000人以上で、世界の日本人学校の中でも最大規模となっており、入学に際してもお父様の勤務地による制限や、学期途中の編入が認められていないなどいくつかの条件が課されています。一般的な始業式や終業式などの日程はもちろんですが、指定された日時の編入学相談に参加できない、もしくは遅刻した場合には入学が認められないなどハードルが高くなっていますので、お気をつけ下さい。

最後に、故意であろうが過失であろうが、不法滞在は不法滞在です。オーバーステイの日数に応じて罰金や入国禁止の罰則が科されます。罰則は逐次強化されているのですが、最大10年間の入国禁止が定められた規定が今年3月から実施されます。今後も法律や入国管理局の内部規定がどのように変わるかはわかりません。どんなに気をつけても気をつけすぎることはありません。

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