東洋ビジネスサービス
1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。
今回は、タイでの事業運営時に従業員がけがをしたりトラブルが発生したりした際の対応方法を、ケーススタディーでご紹介します。タイでのビジネスは日本でのビジネスに比べると、勤務時間内でも勤務時間外でも予期せぬ事故やトラブルが発生することが多いかもしれません。また、その対応も日本とは異なる部分が多くなっています。具体的な事例をご紹介します。
事例①:従業員の業務時間中の交通事故
<会社補償分をどのようにすればよいか>
従業員が自己所有の自動車を運転して税務署に確認へ行った帰りに、工場から数百メートルの地点の交差点でバイクに接触してしまいました。従業員はバイクが向かってきていることに気付かずに交差点を右折し、その際に、バイクが車の左後輪に接触し、バイクの運転手を道路に倒してしまいました。すぐに救急車を呼び、被害者は病院へ搬送されました。無免許でヘルメット未着用だった被害者は打撲とすり傷を負いました。
被害者が退院後に、警察・保険会社・被害者・従業員の4者面談が行われ、従業員は事故の記録が残り、被害者に対して働けない期間とバイクの金銭補償を行うことになりました。従業員の任意保険が適用されるようなので、従業員の保険から被害者の補償を支払うことになりました。
会社の補償について打ち合わせを行いましたが、従業員は自分の保険で補償すると言っており、会社では車を業務で使用する規定はありません。従業員が業務で車を使用していることは把握していたものの、記録としては残っていません。
〇対応策
今回のケースでは、従業員の保険で全額カバーされていることから、会社側が別途負担する必要はないということになりました。
事例②:就業時間外での死亡事故
<従業員がプライベート時間中に起こした事件で死亡した時の見舞金の相場はいくらか>
工場勤務の社員が勤務時間外のプライベート時にパブでけんかし、意識不明の危篤状態となりました。人工呼吸器も外されており、家族も諦めている状況です。会社としては死亡時の金銭関係の規約などはなく、どうすべきか決めかねています。
〇対応策
就業時間外での不慮の死亡などは、会社からでなく、社長のポケットマネーで弔慰金として2千バーツ程度を渡すのが通例です。また社員の死亡時は、葬儀の喪主を会社が務めたり、葬儀用の花を出したりすることも検討します。香典は個人で1千バーツ程度が相場となっています。
〇結論
先述の二つの事例を見ても、日本での対応とタイでの対応とでは、習慣を含めてかなり違いがあります。また、タイの日本人経営者は日々の事業運営だけでも多忙を極めて過酷なうえに、このような不慣れな労務面でしっかりと相談できる相手がいないことが多く、対処が難しくなっています。このような緊急事態が発生した際はぜひ、弊社にご相談下さい。
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