中野靖識(なかの・やすし)
株式会社船井総合研究所上席コンサルタント。メーカーから小売業まで幅広いコンサルティングフィールドを持つ。一般消費者向けの商材を扱う企業の現場レベルでの具体的な販売手法の提案を得意とする。
日本国内では、7月後半からいきなり真夏に突入したような状況になり、6月には天候不順で冷夏になることを心配されていましたが、むしろ記録的な猛暑になりそうです。
6月までの動きを見て、業界によっては盛夏商品の生産調整を実施せざるを得ない状況でもありましたので、単純に暑くなって良かったとは言いにくい状況です。
経済産業省の商業動態統計6月分速報によると、平成27年6月の商業販売額は38兆4360億円、前年同月比0.9%の増加で、卸売業、小売業別にみると、卸売業は26兆9790億円、同0.9%の増加、小売業は11兆4570億円で同0.9%の増加となったそうです。
海外からの観光客に後押しされる形で、大都市圏や観光地周辺の商業地の業績が上昇したことも寄与しているものと思われます。
一方、好調といわれる小売業界であっても、内訳をしっかり見ていくと危険な兆候が見られます。商業動態統計にはコンビニエンスストア業界の動向も記載されていますが、6月度商品販売額の既存店ベースはマイナスと表記されていました。
コンビニエンスストア業界全体を見ると成長を続けていますし、その他小売業と比較しても成長を続けていることは事実なのですが、従来品領域の既存店ベースがマイナスになっているのであれば、その原因を考えていくことが必要になります。
◆常にリスクに備える
該当業界の方はしっかり意識をしておられることと思いますが、業績不振に陥る最初の蹉跌(さてつ)はこのような小さなことを放置してしまう思考だとご理解下さい。
成長をしている最中に、実は破滅の芽が育っていると考えるべきなのです。
常にリスクに備える、もしくは原因を追及しオプションを考える続けることは、少し前に導入徹底を推奨された「事業継続計画」(BCP:Business Continuity Plan)の概念と相通ずるものです。
ようやく本格的な景気回復が話題に上がるようになってきた昨今だからこそ、小さな破滅の芽に対する対策を検討するという姿勢が大切だとお考え下さい。
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