п»ї 日本の常識、外国では非常識『時事英語―ご存知でしたか?世界ではこんなことが話題』第1回 | ニュース屋台村

日本の常識、外国では非常識
『時事英語―ご存知でしたか?世界ではこんなことが話題』第1回

3月 28日 2014年 文化

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SurroundedByDike(サラウンディッド・バイ・ダイク)

勤務、研修を含め米英滞在17年におよぶ帰国子女ならぬ帰国団塊ど真ん中。55歳で銀行退職、外資系法務、広報を経て現在証券会社で英文広報、社員の英語研修を手伝う。もともと中身の劣る脳の退化防止にはさほどの意義を認めず、せめて足腰だけはと、ジム通いと丹沢、奥多摩の低山登山を心掛ける。

◆奇想天外、冷凍死体男祭り

会社の海外派遣研修のプログラムで英語を教えている立場から日頃、Reading あるいはListeningのClassの教材に使うべく 海外メディアの記事、放送をフォローしている。業種柄、金融・経済関連が中心になるのだが、時には参加者の興味を引くため日本の新聞などではあまり取り上げられない奇抜、破天荒な内容のものも選んでいる。

そのなかで私の選ぶ極めつけはやや古きに失するのだが、米紙New York Times 2011年6月18日付の「Frozen Dead Guy Festival for Sale」という記事だ。米コロラド州デンバーから北西へ車で1時間ほどの場所にあるネダーランドの村おこしの話。人口1500人のこの村に10年以上続く奇祭についてである。

一言でいえば、冷凍遺体をめぐるお祭りで、内容は次の通りである。

現地在住のノルウェー人が89歳で亡くなった祖父の遺体を将来、医学の進歩で蘇生させることを目的にアメリカに運び、自分の住居の近くの小屋に冷凍保存していたところ、当人がビザ失効により強制国外退去となった。この遺体は冷凍保存されたまま残されたが、当然自治体の法制上も違法であった。

しかし、特に観光の目玉もない文字通りの寒村の地元商工会議所としては、その家族が遺体維持をすることを約したのを機に、2002年、なんと“Frozen Dead Guy Festival (冷凍死体男祭り)”と銘打つイベントを企画したのである。

根拠は不明であるが、遺体の保存は過去にさかのぼって許容され、毎年3月初め、入場料を払って、棺桶(かんおけ)かつぎレース(さすがに本物の遺体は入っていない)、凍った湖への仮装飛び込みコンテスト、霊柩(れいきゅう)車パレード、バンド演奏、遺体本人にどれだけ似ているかを競うメーキャップコンテスト、遺体実物の見学ツアー、ビール飲み放題などのアトラクションで若者の参加を中心にたわいないものと想像できる。

年々人気が高まり、イベント参加者が2万人を超え、運営が地元商工会議所の手に負えなくなり、11年に興行権が売りに出され、金額非開示であるが個人(女性)が購入したとされている。

(リンク:http://www.nytimes.com/2011/06/18/us/18frozen.htmlおよびこれ以降も関連記事を他の媒体が多数取り上げている)

◆話題の領域を広げてくれる英字紙誌

欧米の新聞は、日曜版などページ数が膨大で休みの日に時間つぶしと割り切って読むと結構幅広い話題を楽しめ、この記事もその領域の広さを裏付ける一例である。日本人の感覚からすればとんでもない遺体冒涜(ぼうとく)とも考えられる内容で、無邪気に騒げるお祭りと受け入れられることはないだろう。


この記事を社員の語学研修教材に選んだのは、日本から送り出すにあたり、何よりもまず日本人にとって、日本の常識に照らして、いかに外国では非常識でワイルドで無節操なこと、しかし同時に視点を変えればちょっと面白いことが多いのをあらかじめ認識してもらうためである。

今後は、テーマにこだわらず、日本にいて違和感はあるが考えさせられる記事、報道について、英語媒体には限られるがより新しいものを幅広くご紹介したいと考えている。

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