п»ї 標準化はものづくりの1丁目1番地『ものづくり一徹本舗』 | ニュース屋台村

標準化はものづくりの1丁目1番地
『ものづくり一徹本舗』

8月 15日 2013年 経済

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迎洋一郎(むかえ・よういちろう)

1941年生まれ、60年豊田合成入社。95年豊田合成タイランド社長。2000年一栄工業社長。現在中国、タイで工場コンサルタントを務める。自称「ものづくり研究家」。

私は「ものづくり研究家」を自称しているが、口汚い友人は「あら探し研究家」と揶揄する。高校卒業後、豊田合成に入社。品質管理や製造などものづくり一筋の人生であったが、トヨタ自動車の強さを支える要素の一つとされる「トヨタ生産方式」の産みの親とも称される大野耐一先生(トヨタ自動車元副社長)に直接ご指導を受ける幸運に巡りあえた。

大野先生の教えを受けた方の中には、張富士夫トヨタ自動車名誉会長や池渕浩介トヨタ自動車顧問など有名な方が多くいらっしゃる。また、大野先生ご自身が『トヨタ生産方式 脱規模の経営をめざして』(ダイヤモンド社、1978年)という本を出版されている。私は72歳になるが、いまだ現役として働いている。大野先生から薫陶を受けた者の一人として、私の眼で改めて「ものづくりとは何か」を考えていきたい。

◆「標準とは」何か?

大野先生は「標準化なくして改善なし」と教示された。私自身、この標準化作業が、ものづくりの第一の基本であると考える。

さて、「標準」とは何だろう? 標準は、製造業の中では一般的な用語だが、製造業以外の人にはあまりなじみのない言葉だろう。国語辞典で調べると、「判断のよりどころや行動の目安となるもの」と書かれており、「基準」という言葉と比べると、「より普通のもの」とのニュアンスがある。

製造業の世界では「最低限守らなければいけないルール」と解釈するのが妥当だろうか。例えば、世界文化遺産に登録されたことをきっかけに富士山で最近多くなった、睡眠などを取らずに山頂を目指す「弾丸登山」による遭難などは、標準化が遵守されていない事例として挙げることができよう。

◆標準作業の実例

それでは、工場における標準作業とはどのようなものなのだろう。プラスチックなどの樹脂成型加工の標準作業を基本として例示してみよう。


 
この標準を守らないと、次のような不具合が発生する。
・ワーク取りが遅れるとワーク重なりで、傷がつく
・未加工品、不良見逃しが発生する
そしてこれらの不具合は。結果として製造の品質、原価、納期に直接影響を及ぼすと共に、安全管理にも問題を引き起こす。標準とはまさに、ものづくりの基本中の基本なのである。

◆標準化作業の成功の道

標準表がない工場は論外だが、あっても守れない工場は多い。私の経験でも、標準表の作成者の問題(具体的な手順を理屈だけ作成する)、作業者の問題(知識不足、認識不足)、管理の問題(工程変更、整備不行き届き)など問題は数多く存在している。

では、どのようにすれば、標準化作業が成功するのだろうか。私なりに到達した手法は以下のとおりである。
 
①標準作業は現場の監督者が作る。ただし技術、品質、安全標準を挿入する。
②標準作業は担当する作業者に説明し、やって見せる、やらせて見る、そして納得してもらう。
③標準遵守状況は定期的に巡回点検する。不具合があれば即作業を停止し、元に戻す。
④守られなかった原因を調べ、その対策を講じて再発させない。

◆成功を確実にするためにもう一工夫を

標準化作業を導入したとしても、人間だから互いに意思疎通が十分でないときがある。また、ついつい自分に甘くなるのも人間の特性である。こうしたことを避けるために、私はさらに2つを提案したい。
その1つが、納得サイン入り標準である。

このフォーマットによって、いつ誰が誰に標準作業を指導したかが一目でわかる。さらに、監督者と作業者の両者がサインすることによって、標準作業に対する双方の誓約の側面もあるといえる。
2つ目が「標準化と遵守状況評価シート」の策定と活用である。

このシートで重要な点は、他の係の者がチェックをすることである。自己査定では出てこない問題点も、他の係の者から指摘されたことは私もたびたび経験してきたことである。(以下 次回に続く)


One response so far

  • 田中 より:

    はじめまして
    ものづくり(吹けば飛ぶような小さな鉄工所)に携わっている者として一言申し上げさせていただきます。
    標準化はものづくりの1丁目1番地では無いとする立場の者であります。
    ものづくり精神の無いもの、顧客の為という第一義を疎かにする経営者のもとでは
    奴隷製造システムでしかありません。

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