東洋ビジネスサービス
1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。
今回は、警察が介入した押し売り行為のトラブルについてご紹介します。日系企業の多く集まるバンコク近郊サムットプラカーンの工業団地での出来事です。警察官を引き連れた男が消火器を売りに来ました。市価800バーツ(1バーツ=約3.6円)ほどの消火器を2500バーツで売りたいとのこと。2本くらいだけでもいいから購入してほしいと言います。タイ人の受付担当スタッフが顔色を変えて報告に来ました。
何しろ現役の警察官が制服を着て同行しているのですから、日本人としては「言われたとおりに買わなければまずいのではないか」と思うのは仕方がありません。先方も今すぐ購入するよう求めています。しかしながら、ここで支払ってしまっては相手の思うつぼ。その場で現金を出してはいけません。ここは先方に「代表者や親会社に確認してから返事をする」と丁重に伝え、なんとかいったんお引き取り願いましょう。
◆社内稟議に必要な書類を提出してもらう
以下、弊社がオススメした撃退方法をご紹介します。まずは名刺を頂きます。そして購入を考えているが、その購入に向けて3社以上の相見積もりを取るなどの社内ルールの手続きがあることを伝えます。続いて、その社内稟議(りんぎ)のために、会社名、会社案内、見積書が必要なことを説明し、その準備をお願いします。協力している警察官の氏名と所轄の警察署の確認も重要です。上司へ報告するために来訪者の写真を撮っておくのも効果的です。
とにかく先方とはその場では余計な摩擦を起こさないように、お断りしないで丁寧に諸書類の準備をお願いすることが肝心です。「大変申し訳ありませんが、これらの消火器の購入のためには社内で稟議書を作成する必要があります。稟議書の添付資料として必要となるので、これらの書類のご準備をお願いします」と説明するのです。十中八九この段階で、無事にお引き取りいただけることでしょう。
もしも、これらの書類を全部用意して再度来訪した場合はどうすればよいでしょうか。その場合は、相見積もりを取った証拠を見せて他社から購入することになったことを報告するか、その会社が本当に安かった場合は諦めて先方の望み通りに「2本くらいだけでも」購入するのが得策です。それでも、万一何かトラブルになった際には、速やかに弊社までご連絡をいただくようご案内致しました。
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