東洋ビジネスサービス
1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。
今回は、サービス業につきもののクレームとその対応についてご紹介します。
A社はオフィスやホームオフィスで使用する事務機器をレンタルしている会社です。あるお客様にレンタルしたプリンターが故障し、インクが漏れてしまいました。連絡を受けたスタッフが急いでお客様先に向かい、故障を修理しインクで汚れた床や机など、事務所内の清掃を行いました。
◆一度は直接話をしてみる
スタッフはきちんと清掃を終えたつもりで帰社したのですが、お客様はご不満です。度重なるメールやLINE(ライン)でのクレームにスタッフも困り果ててしまい、レンタル機材を引き揚げようとしましたが、それもお客様の反対にあってしまいました。スタッフには決裁権もなく、お客様とA社の社長の間に挟まれて、ただただ困るばかりです。
そんな状態ですが、お客様より「社長と話がしたい」とリクエストがありました。弊社へのご相談はA社の社長さんからです。あまり人と話をするのが得意ではないため、直接お客様先に行くのが気が進まないとのことです。ご相談の趣旨は、どうにかメールで対応ができないかとのことです。
お話を聞いていると、確かにこの社長さんは、仕事は誠心誠意を込めてされているのですが、話術は少し苦手なタイプのようです。お客様のクレーム処理が得意なタイプではないかもしれません。しかし、お客様のリクエストは「社長と直接話したい」です。
こちらからのアドバイスも「一度は直接お話をするのがよいでしょう。もしも弁護士に任せるのであれば、その後の話になります」と伝えました。気が進まない社長さんをどうにか説得し、お客様と直接話をする場をつくってもらいました。
◆前面に出てお客様対応する
当日ぎりぎりまで悩みに悩んだ社長さんですが、実際に会って謝罪をしたところ快く謝罪を受け入れて頂き、キャンセルをしようと思っていたレンタル機材についても取引を継続してもらえることになりました。
あまりにあっさり解決したので、私どもも拍子抜けしてしまいました。日本のニュースで不祥事の際にトップが出てきて頭を下げるシーンをよく見かけますが、やはり顧客サービスを重要視するのであれば、とにかく「社長」が前面に出てお客様対応をすることが大きな効果を挙げるようです。
お客様との関係も持ち直した上に、社内のタイ人スタッフから「本当に困ったときは社長が出てきて解決してくれる!」と頼りにされるようになるという、うれしいおまけもついてきました。
よく言われることですが、どんな場合でもピンチをチャンスに変えるのは社長さん次第です。自社の付加価値がどこにあるかを見極め、ピンチには積極的に取り組んで下さい。
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