п»ї 顧客との約束 その6『経営コンサルタントの視点』第6回 | ニュース屋台村

顧客との約束 その6
『経営コンサルタントの視点』第6回

11月 08日 2013年 経済

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中野靖識(なかの・やすし)

株式会社船井総合研究所上席コンサルタント。メーカーから小売業まで幅広いコンサルティングフィールドを持つ。一般消費者向けの商材を扱う企業の現場レベルでの具体的な販売手法の提案を得意とする。

◆次世代経営者に受け継いでほしい企業としての「志」

最近、色々な業界の次世代経営者向け勉強会にお招きいただき、お話しさせていただく機会が増えました。企業の世代交代があまり進んでいないこともあって熱心な参加者が多く、私も身を引き締めて取り組んでおります。

調査会社大手の帝国データバンクでは社長交代率を継続的に調査していますが、2012年の社長交代率は3.69%で、1990年以降で最低の水準だそうです。対象企業は株式会および有限会社で、中小零細を含んでいるものと想定され、後継者が不在で廃業を前提としているケースも多いとは思いますが、高齢者社長ががんばっているのが実態と言えるでしょう。

2010年(平成22年)簡易生命表(厚生労働省)によると、男性の平均寿命は79.64年、女性の平均寿命は86.39年になっており、元気な高齢者が増加していることも事実ではありますが、次世代経営者への事業承継を阻害する何かがあると考えるべきかと思います。

講座の合間に次世代経営者の方々とお話ししていると、意外なことに創業経営者や現社長と「企業としての顧客との約束」の話し合いをあまりされていないことに気づきました。

親しいがゆえに創業原点のような話はかえってしにくいのかも知れませんが、この部分の意思疎通が進んでいかないことが、次期経営者にバトンが渡らない原因のひとつになっているように感じます。

企業創業時には「自社をどのようにしていきたいのか」といった目的や価値観があり、それらがその企業の「志」を形成しているものです。その志を実現していくために自社の取引先である顧客と取り交わすべき約束が、創業原点を理解することにつながります。

現経営者は、箱としての企業を受け継ぐだけではなく、企業としての「志」を受け継いでもらいたいものと理解しましょうと、次世代経営者にはお伝えしています。お取引先で事業承継が進まない方陣(ほうじん)があった場合には、このようなアドバイスをしてみることも有効かと思われます。

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