山田厚史(やまだ・あつし)
ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。
世界貿易機関(WTO)の交渉が行き詰まっている。貿易の円滑化など新たな分野の取り決めを話し合うドーハラウンドで各国が折り合わず、10余年かけた交渉は決裂寸前だ。交渉失敗となれば、国境を越えた経済ルールを世界規模で進める、という難事業はついに挫折となる。
だが、そんな現実に驚きはない。「WTOはまだ交渉していたのか」というのが私の率直な思いだ。途上国の台頭で力関係が変わった。強国が音頭を取って世界共通のルールを作る、という考え自体が「妄想」になろうとしている。
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