山田厚史(やまだ・あつし)
ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。
医者を育てる教育ってなんだろう。そんなことを考えさせるのが、東京大学医学部で続発する研究不正に決起した医学生5人の行動だ。説明を求めた公開質問状に、大学は「心配しないで勉強してなさい」という対応だった。東大はどんな医者を育てようというのか。
◆研究データ改ざん、関係者に口止め
東大理科3類、通称「理3」は、同世代の0.01%の頭脳集団にのみ門戸が開かれる受験の最難関である。数学五輪に出場するような俊才が集まり、放っておいても勉強する若者たちだ。だが、受験の勝者が良い医者になるか、というと微妙である。善悪の判断がずれた医師や研究者ほど恐ろしいものはない。
ノバルティス製薬の事件や理化学研究所の論文ねつ造が社会問題化しているが、似たような構造が東大で表面化した。
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