山田厚史(やまだ・あつし)
ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。
「イトマン事件」を覚えていますか。中堅商社イトマンが反社会的勢力に食い荒らされ5000億円もの資金が焦げ付いた経済犯罪。メインバンクから事件の舞台裏を描いた『住友銀行秘史』(國重惇史著、講談社、2016年)が金融関係者の間で話題になっている。
当時の住友銀行の有力者が実名で登場するのが生々しい。「天皇」といわれ、NHKの経営委員長にもなった磯田一郎会長の狼狽(ろうばい)ぶりや、巽外夫(たつみ・そとお)頭取の煮え切らない態度が手に取るように描かれている。ドラマにもなった「半沢直樹」の世界を彷彿(ほうふつ)とさせる実録銀行物語だ。
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