山口行治(やまぐち・ゆきはる)
株式会社エルデータサイエンス代表取締役。元ファイザーグローバルR&Dシニアディレクター。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。
数学の話題は日常的ではなく、難しいだけで役に立たないと思われるかもしれない。前回「住まいの多様体(その3)」で、「複素数の実在性」の話をした。筆者の物理的直観を素直に述べたものだが、多くの人は言語を信じることはあっても、数字は信じないだろう。数字は道端の石ころのようなもので、そこに在って躓(つまず)かないようにしても、信じる対象ではないからだ。しかし、複素数の実在性を信じると、世界が違って見えてくることを、つたない言葉で伝えたい。
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