山口行治(やまぐち・ゆきはる)
株式会社エルデータサイエンス代表取締役。元ファイザーグローバルR&Dシニアディレクター。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。
『住まいのデータを回す』シリーズの前稿(第10回)では、「AI(人工知能)技術によって機械が人間化するのではなく、人間が機械化するという逆説こそ、本稿の折り返し地点にふさわしい」と結んだ。シリーズ第5回の全体構想を読み直すと、構想時点ではAIが機械文明を変質させる可能性を見落としていた。もしくは過小評価していたので、記載していなかった。AI技術を西洋文明もしくはその近代以降の出来事として、文明論の射程で考えていたのだが、西洋文明という地勢的な制約よりも、機械文明として人間が機械化されることがより本質的であることに気づいた。
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