引地達也(ひきち・たつや)
法定外シャローム大学学長、一般財団法人福祉教育支援協会専務理事・上席研究員(就労移行支援事業所シャロームネットワーク統括・ケアメディア推進プロジェクト代表)。コミュニケーション基礎研究会代表。精神科系ポータルサイト「サイキュレ」編集委員。一般社団法人日本不動産仲裁機構上席研究員、法定外見晴台学園大学客員教授。
◆ちょっと遠い寛容性
3月末に女性同士の結婚式に招待され、出席した。
場所はオーストラリアのキャンベラ郊外。日本に留学していた四半世紀前の知り合いのオーストラリア人の女性だが、レズビアンだと知ったのはここ数年のこと。実際に彼女には「生理学的な」夫がいて、その間に二人の子供がいる。
今回の結婚は一昨年に同国での同性婚の合法化を受け、2人の子供の母の立場を保ちながら、愛するオーストラリア人女性と一つの家庭を築くための大事な通過点。両家の家族はもちろん、生理学的な優しい元夫や親戚、友人たち約120人が集まり、自然に囲まれた小屋の中で盛大なセレモニーとパーティーが行われた。
LGBTを取り巻くコミュニティーは合法化された制度とその事実によっても作られるし、同時に制度を作ろうとするコミュニティーの総意が雰囲気を作り上げる。それは多様性への寛容さが基本であることは間違いないが、私たちの国や社会がそこにたどり着けるかは、ちょっと遠そうな印象だ。 記事全文>>