山本謙三(やまもと・けんぞう)
オフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。
金融サービスがデジタル技術の浸透で変わるのは、自明にみえる。
しかし、フィンテックの実例をみれば、劇的に変化したのは、サービスの周辺部にかかるプロセスが圧倒的だ。サービスのコア部分、すなわち預金、貸し出しなどの根本にアクセスしているものは少ない。その意味で金融業、とりわけ銀行業は「枯れた産業」ともみえる。
それでも、デジタルのインパクトは計り知れない。金融機能を分解し、機能を組み直したり、付け加えたりすることで、より高い付加価値を生み出すことができる。既存の規制や慣行をいったん横に置けば、新たなサービスの開発余地は存外大きい。 記事全文>>