古川弘介(ふるかわ・こうすけ)
海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。
◆ はじめに
MMT(=Modern Monetary Theory:現代貨幣理論)の3回目である。前稿では、主流派経済学(財政緊縮派)からのMMTに対する批判を検討した。提起された問題点は、MMTは課税や歳出削減でインフレをコントロールするというが、民主主義的政治体制の下で、将来インフレが起きたときに増税や歳出削減によって機動的にコントロールできるのか、あるいは放漫財政に陥らずに、将来世代も恩恵を受けられる賢い財政支出は可能か、といったMMTの政策の実行可能性への疑問であった。それらは「財政の民主的統制の難しさ」を知る主流派らしい批判といえよう。 記事全文>>