山口行治(やまぐち・ゆきはる)
株式会社エルデータサイエンス代表取締役。元ファイザーグローバルR&Dシニアディレクター。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。
思想家カール・マルクスは、戦争と革命の20世紀を、経済学の用語で決定づけた。マルクスの意に反して、21世紀でも資本主義経済は生き延びている。覇権国家が延命し、地球全体の生命が脅かされている。若い21世紀の哲学者マルクス・ガブリエルは、意味の場の複数性を頼りに、新しい全体主義と戦っている。自然科学であっても、意味の場を過度に独占すると、全体主義に陥(おちい)るという。筆者の文脈では、数学を過度に論理的に基礎づけようとすることの戒(いまし)めでもある。Googleはデータの世界を全体主義化しているのだろうか。米国司法省がGoogleを反トラスト法(独占禁止法)違反で提訴した。この覇権国家権力とインターネット上のデータを独占する企業の戦いは、どちらが勝っても新しい全体主義の始まりのような気がする。 記事全文>>