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Archive for: 5月, 2021

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朝日新聞の二重基準
『山田厚史の地球は丸くない』第189回

5月 28日 2021年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

朝日新聞は5月26日、東京五輪の開催中止を求める社説を掲げた。コロナ蔓延(まんえん)、医療の逼迫(ひっぱく)、緊急事態宣言など挙げ、この夏、東京で五輪・パラリンピックを開くことは「理にかなっているとは思えない」とし、「開催の中止を決断することを菅首相に求める」と主張した。

朝日は、東京五輪に批判的な紙面を作ってきた。オピニオン面では、開催支持の意見とバランスをとりながらも開催を疑問視する識者の意見を載せ、「声」欄は「中止」を求める投稿をしばしば載せてきた。世論調査では毎月、五輪開催の賛否を聞く問いかけを続け、「中止43%」「延期40%」などと紙面化している。

読者や識者の「反対」は載せながら、新聞社としての考えである社説は慎重だった。開催まで2か月と迫り、国際オリンピック委員会(IOC)が「緊急事態宣言が出ても開催する」という姿勢を見せる事態になり、ついに「中止」を表明した。

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70歳まで働く社会が必要な理由(4)【連載企画:人口構成と日本経済(全5回)】
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第42回

5月 26日 2021年 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

o オフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。

生産年齢人口(15~64歳)の減少は、経済活動を供給面から制約する。今後就労人口が減っていけば、プラス成長の維持も容易でなくなる。人口が減少する社会では、やむをえない。

「実質経済成長率」のプラス、マイナスよりも、今後は国民の豊かさを表す「国民1人当たりの実質経済成長率」を維持することの方が重要になる。「1人当たり」ならば、分子と分母が同時に減るので、一見すると問題ないようにみえる。

しかし、そうではない。生産年齢人口が、総人口を上回るスピードで減少する。少ない人口で生み出すパイを、多くの人口で分かち合わねばならない。1人の取り分が減る。「国民1人当たりの実質経済成長率」も低下する可能性が高い。

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触法障がい者への支援に目を向けることを考える
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第209回

5月 24日 2021年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆支援をしていた人の逮捕

 支援をしていた障がいのある男性が逮捕された。

昼間のテレビニュースの映像ではそのなじみのある顔はその格好から手錠をされている様子で、警察に連行される不安な表情は「詐欺容疑の男逮捕」の見出しが付けられると、たちまち罪人のようにも見えてくる。

しかし、彼は私にとっては支援が必要な施設の利用者であり、気の優しい施設の仲間だった。逮捕容疑はお年寄りに多額の現金を送るよう迫った詐欺とのことだが、彼の性格からはにわかに信じられない。

彼はそのような犯罪をする巧妙な発想も行動も持ち合わせていないはずで、誰かの指示によりなされたトカゲのしっぽに過ぎず、彼の映像をメディアに撮影させるという捜査機関のサービスを考えると、彼が世の中の「ちょうどよいところ」に、はめ込まれ、使われてしまったようにも思う。被害者も気の毒ではあるが、彼もまた障がいによって判断が他者と比べ、正確にできなかったことが今後の公判で明らかになっていくだろうか。

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GAFAの知恵、日本の企業経営者はその経営手法を勉強しよう
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第194回

5月 21日 2021年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

o バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住23年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

GAFAとはIT業界に君臨する米国の四つの巨大企業グーグル(Google)、アップル(Apple)、フェイスブック(Facebook)、アマゾン(Amazon)の頭文字を取って名付けられた4社の総称である。いまや私たち日本人はこれら4社のサービスなしで生きていくことは考えられない。それほどにこの4社のサービスは私たちの生活の奥底に入り込んでいる。また昨年来、新型コロナウィルスが世界中に蔓延(まんえん)してからは、この4社はますます好調のようである。コロナ禍でこれら4社の業績は伸長しており、旧常態に生きる企業とは対照的な様相を見せている。しかし、これら4社の業績好調の理由は「IT企業だから」というだけでは決してない。その好調な業績の背後で、彼らは極めて科学的で合理的な「勝ちゲーム」を展開しているのである。

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周辺の人びと
『週末農夫の剰余所与論』第14回

5月 19日 2021年 社会

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

o 株式会社エルデータサイエンス代表取締役。元ファイザーグローバルR&Dシニアディレクター。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

農作業は待ったなし。雹(ひょう)が降る異常気候で予定が立たず、振り回されている。それでも、作業が終わってみると、毎年同じようなことの繰り返しになるのだから不思議なものだ。本シリーズ第12回(※)に紹介したエマヌエーレ・コッチャ(1976年イタリア生まれの哲学者)の『植物の生の哲学-混合の形而上学』(勁草書房、2019年)に続いて、フロランス・ビュルガ (1962年生まれ、フランスの科学哲学研究者)の『そもそも植物とは何か』(河出書房新社、2021年)を紹介しよう。

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新しい環境の悩みが悩みでなくなるまで
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第208回

5月 17日 2021年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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5年前の手紙

 4月から新しく北海道から岡山までの障がいのある人の就労を支援する就労移行支援事業所や自立した暮らしを支援する自立訓練事業所の計17か所と関わり合うことになり、あらためて就労移行という仕事について考えさせられている。

そんな時、過去の書類を整理していたら5年前に就職した当事者からいただいた手紙に目にとまった。精神障がいと高次機能障がいによる身体障がいのあるこの当事者は私が施設長をしていた就労移行を経て、大手企業の障がい者雇用で就職し、周囲は大いに喜んで意気揚々と就職したものの、その1か月後には心が折れてしまう状態になった。

その時に私に電話をかけてきて心配事の一つひとつを話しはしていたが、それでも不安な心が収まらなかったらしく、文書にして私宛に送ってきた手紙である。そこには障がい者が働くことへの支援の要点が示されている。

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これでコロナに勝てるのか? 感染を身近に感じた日
『山田厚史の地球は丸くない』第188回

5月 14日 2021年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

今月の連休中のことだった。女房が、不調を訴えた。孫の面倒を見て疲れが出たのかもしれない。体がだるく微熱がある。5日は朝からせき込むようになった。喘息(ぜんそく)の症状が現れ、掛かりつけの医者に電話した。出ない。休診らしい。徒歩で行ける医院も閉まっていた。

やむなく昼過ぎからクルマで病院を訪ね歩く。どこも閉まっている。やっと見つけたのが救急医療センター。普段は夜間の応急医療を担当し、地元の医師が輪番制で当たっている。連休中はほとんどの開業医が閉まっているため、昼からやっていた。

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世界を圧倒した長寿化スピード(3)【連載企画:人口構成と日本経済(全5回】
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第41回

5月 12日 2021年 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

o オフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。

前回述べたように、日本の人口ピラミッドが「脚の長い凧形」に向かうのは、少子化と長寿化の結果である。少子化がピラミッドの下方をスリムにし、長寿化が全体の形状を縦長にする。

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新しい就労継続支援型事業所を目指し東京・大田校が出発
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第207回

5月 10日 2021年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆福祉と教育のハイブリット

 4月1日付で就労継続支援B型事業所みんなの大学校大田校が東京都の認可を受けて正式に事業がスタートした。支援が必要な方に向けてウェブ上で学びを提供するみんなの大学校は、就労移行支援事業所みんなの大学校西宮校(兵庫県西宮市)と、今回の東京都大田区の就労継続支援B型事業所みんなの大学校大田校を、障害者総合支援法に基づく福祉サービスを利用する形で福祉事業を行う。

「学び」を核としながらも、障がい者が普通の暮らしができるための社会保障を確保しながら、教育と福祉のハイブリット型を目指す。現在の社会状況や支援が必要な方々のニーズ、それら現実的な対応と適切な支援と地域移行などの課題に真正面から取り組み、よい形を提示したいと考えている。そのためにスタッフは、来ていただく方には必ずや適切な支援と思い描く未来に近づけようとの意気込みで、その積み重ねが「形」になっていくと信じての出発だ。

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コロナ禍の中で透けて見えるタイ政治の深層
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第193回

5月 07日 2021年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

o バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住23年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

新型コロナウイルスは人々の活動を停滞させる。感染者の飛沫(ひまつ)を短時間浴びただけでコロナに感染する恐れがある。当然のことながら、人々が直接対面する機会は減少する。経済も企業活動も、そして政治までも何も動いていないように見えてしまう。しかし、果たして本当にそうなのであろうか。前回第192回の拙稿「感染急拡大 タイのコロナ狂騒曲」(4月19日付)で、4月に入ってタイでもコロナの感染が急拡大していることを報告した。1か月近く経ってタイ政府もようやくバンコク首都圏、チョンブリ県、チェンマイ県などの計6都県で部分的ロックダウン(都市封鎖)に踏み切った。タイ全土で、公園を含む娯楽施設や教育施設を閉鎖。デパートや商業施設の営業時間は午後9時まで。飲食店でのアルコール飲料の販売も禁止された。また公共の場でのマスク着用も義務化され、違反者には最高2万バーツ(約7万円弱)の罰金が科せられる。これに加えて、バンコク首都圏など計6都県では飲食店での食事が禁止され、20人以上の会合も禁止された。タイでは1日あたりの感染者数が2000人を超える日も出てきた。人口比で考えれば日本並みのコロナ感染拡大がタイでも起こっていることになる。こうした背景には、タイの政治の変容が少なからず関係しているのではないだろうか。

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