古川弘介(ふるかわ・こうすけ)
海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。◆はじめに――地政学と経済学の総合
地政学とは、地理と歴史で世界を理解することである。前稿で取り上げた『新しい地政学』は、過去の教訓の集積である「古典的地政学」の上に「新しい」国際環境――グローバル化以降の世界――における地政学戦略の構想を示している。「新しい」というのは、陸海空に加えて宇宙やサイバー空間にまで対象が広がったことを指すが、それはまた、「法の支配」に基づいたリベラルな国際秩序の確立を構想している――「自由で開かれたインド太平洋」(*注1)など――からである。同書は、北岡伸一(国際協力機構理事長)、細谷雄一(慶応大学教授)が編者となっており、主流派の地政学と呼んでよいだろう。
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