引地達也(ひきち・たつや)
特別支援が必要な方の学びの場、みんなの大学校学長、博士(新聞学)。精神科系ポータルサイト「サイキュレ」編集委員。一般財団法人発達支援研究所客員研究員、法定外見晴台学園大学客員教授。◆特別支援学校の3年間
特別支援学校を卒業後、障がい者雇用で一般企業に働いたものの、新型コロナ禍による業績悪化で雇用止めに遭い、再就職できないケースを最近立て続けに見てきた。障がい者雇用で働いていた環境から社会に放り出され、何もない状態の不安の中で周囲との人間関係につまずき、精神的にダメージを受けるケースとなる。
事情を聴きながら、当事者と接してみると、特別支援学校高等部の3年間にもう少し、社会に対応する力を身に着けることはできなかったのかとの思いに至ることがある。特別支援教育の「教育年限延長」の主張をしていた、障がい者の教育を保障しようとするグループの考えである。
昨今の「分配」を語る政権は所得を視野に政策を展開するのだろうが、機会の分配という視点で、この「年限延長」もまた、障がい者の社会での自由な活動を保障するための策として考えられないだろうか。「分配」の一環としてとらえることができれば、多くの可能性を喚起していくはずなのだが。
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