引地達也(ひきち・たつや)
特別支援が必要な方の学びの場、みんなの大学校学長、博士(新聞学)。精神科系ポータルサイト「サイキュレ」編集委員。一般財団法人発達支援研究所客員研究員、法定外見晴台学園大学客員教授。
◆「眼差し」はどこから
先般、日本メディア学会の春季大会が行われ、「明治初期の学術メディアでの精神保健―『明六雑誌』における森有礼からの考察―」と題して個人発表を行った。支援が必要な方への支援は当事者の生きづらさを共有することが前提だが、その前提は社会がいかに当事者にとって居心地が悪いのかという事実である。
この事実を形成してきた歴史的経緯の中で、人々の認識やその認識の端緒となったであろうメディア発信、これらにより私たちの社会が生成されてきた倫理観や常識を考察することは、つまり今を知ることにつながる。
私たちが今、精神保健に向けている「眼差(まなざ)し」はどこから始まったのだろうか。その探求の一環として考えた本テーマは歴史研究の第一歩であり、はじまりに過ぎないから、今後、一緒に考える仲間も増やしたい、という思いでの発表であった。 記事全文>>