引地達也(ひきち・たつや)
特別支援が必要な方の学びの場、みんなの大学校学長、博士(新聞学)。精神科系ポータルサイト「サイキュレ」編集委員。一般財団法人発達支援研究所客員研究員、法定外見晴台学園大学客員教授。
◆データは個人そのもの
ジャーナリストの斎藤貴男氏の著作『機会不平等』(文春文庫、2004年)は教育、派遣社員、労働組合、高齢者福祉、経済政策や優生学などを題材に日本社会での不平等に斬り込む名著であり、その成り立ちを考える時に私たちの社会の在り方や個人の思想性が突き付けられる。この不平等を解消するために、私は情報格差をなくすコミュニケーション環境の在り方を考えて、私なりに実践してきたつもりだが、ここにきて大きなテーマを突き付けられている。それは「データ化された個人情報」の取り扱いだ。
コミュニケーションがバーチャルになるほど、その世界で個人とは、すなわちデータになっていく。そのデータは個人そのものであるとの認識がコミュニケーションは成り立たせるわけで、その新しい関係性における倫理観や保護など、議論すべき点は多い。
このコミュニケーション自体は誰もが幸福になるための道筋でもあるから、早急に社会で共有し議論を深めなければならないだろう。 記事全文>>