山田厚史(やまだ・あつし)
ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。
「鮒侍(ふなざむらい)」という言葉を、エコノミストの浜矩子(はま・のりこ)さんから聞いた。
フナはコイのように悠々と泳ぐサカナではない。狭いところで、あっち向き、こっち向き、せわしく、ちょろちょろ。そんな泳ぎ方から「定見のない役職者」をフナザムライと言うらしい。仮名手本忠臣蔵では、高家旗本の吉良上野介(きら・こうずけのすけ)に「フナじゃ、フナじゃ、フナザムライじゃ」と罵倒(ばとう)された赤穂藩藩主の浅野内匠頭(あさの・たくみのかみ)がブチ切れて松の廊下で……。
浜さんは「岸田首相は典型的なフナザムライです」と言う。
攻撃用ミサイル配備とか、敵基地攻撃能力とか、乱暴なことを「被爆地ヒロシマの政治家」と言いながらやる。
金持ち増税である「金融資産への課税」を主張していたのに、金持ちが喜ぶ「資産倍増」に変わった。
「軍事費倍増」を打ち出しながら、今度は「異次元の少子化対策」に看板を変える。この「定見のなさ」はなんだろう、とモヤモヤしていたが、「そうか、フナザムライなんだ」と思い至ってスッキリしたという。 記事全文>>