山田厚史(やまだ・あつし)
ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。
日本銀行の第32代総裁・植田和男の評価が揺れている。前任の黒田東彦(はるひこ)総裁は異次元の金融緩和で経済活性化を狙ったが果たせず、途方もない歪(ゆが)みを市場に残した。「黒田は自ら手を染めた政策を修正することを嫌った。やれるのは新しい総裁だ」と、市場は植田に期待した。だが、就任から100日近くが経っても、植田にその意欲が感じられない。「本気で金融政策の正常化をする気があるのか」と疑いの目が注がれている。総裁は臆病者。そんな声さえ聞かれる。