引地達也(ひきち・たつや)
特別支援が必要な方の学びの場、みんなの大学校学長、博士(新聞学)。文部科学省障害者生涯学習推進アドバイザー、一般財団法人発達支援研究所客員研究員、法定外見晴台学園大学客員教授。
◆創出する訳文
オーストラリアの詩人で私の友人であるメリンダ・スミスさんが来日し、日本各地でワークショップを開催した。
東京の早稲田大でのワークショップ開催後に行われた「トーク&リーディング 詩の共訳~コラボレーティブ・アートとしての試み~」では、メリンダさんの詩を萩原朔太郎賞受賞の詩人、川口晴美さんが日本語に訳したものを朗読し、メリンダさんが川口さんの作品を英語に訳したものを朗読した。
もちろん、ここで詩の言葉を「訳する」ことは、単なる言語の置き換えではなく、その言葉の背景や成り立ちなどを詩人が解釈し、新しい言葉を紡ぎ出し、創出する作業である。これを「コラボレーティブ・アート」と呼ぶが、それは人の感性が触れ合おうとする創造的な行為であり、その過程には人を思いやる、ケアの感覚も垣間見られて、見ているだけでもわくわくする瞬間の連続だ。
私の中では、要支援者に向けた学びの中にどのように取り入れられるかの創造も働き始める。 記事全文>>