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『みんなで機械学習』第40回

6月 05日 2024年 社会

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

o株式会社ふぇの代表取締役。独自に考案した機械学習法、フェノラーニング®のビジネス展開を模索している。元ファイザージャパン・臨床開発部門バイオメトリクス部長、Pfizer Global R&D, Clinical Technologies, Director。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

◆制作ノート

英国の経済学者エルンスト・シューマッハー(1911~1977年)の「スモール イズ ビューティフル」における中間技術の提案を、「みんなで機械学習」として実現するため、「スモール ランダムパターンズ アー ビューティフル」という拙稿を連載している。前回は、人工知能(AI)の根っことなる「固有場知能」(ネイティブ・インテリジェンス)を、本シリーズの到達点としてまとめ、「固有場知能」を活用する農業を次のシリーズの宿題とした。「スモール ランダムパターンズ」は、本当に「ビューティフル」なのだろうか。「ランダム」な「パターン」は、そもそも矛盾した概念だ。しかし、自然においては、量子力学の2重スリット実験のように、論理的には理解しがたい確率的な「ランダムパターンズ」が存在することも事実だ。筆者は中学時代から西洋哲学にはまり、論理学の本も多数読んでいる。厳密な数理論理学(ゲーデルの不完全性定理など)によって明らかになったことは、論理は数学の証明には不可欠であっても、数学を記述するためには表現力不足ということだ。言語や絵画の表現力が、数学よりも豊かであることは疑いようがない。それでも、「スモール ランダムパターンズ」は「ビューティフル」か、という問いに答えは無さそうだ。論理で考えれば、無から有は生まれない。しかし、真空から対称性の破れによって、エネルギーや物質が生まれる。「空」を真空と考えるか、雲がある「そら」と考えるのかは、文脈に依存してはいるものの、「空」をどのようにイメージするのか「自由」だ。「ランダムパターンズ」の「自由度」が、「ビューティフル」かどうかは、人びとと共有する表現の場が「自由」であることを問うているようにも思われる。 記事全文>>

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