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Archive for: 9月, 2024

「異次元緩和の罪と罰」
金融正常化はできるのか?
『山田厚史の地球は丸くない』第272回

9月 27日 2024年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

「ニュース屋台村」執筆陣の1人、元日銀理事の山本謙三さんが『異次元緩和の罪と罰』(講談社現代新書)を出版された。新書と思えない重い中身である。日銀が黒田東彦(はるひこ)総裁の下で、いかに異常な金融政策に手を染めたか。その結果、日本経済は身動きが取れない極めて危うい状況になっていることを淡々と述べている。豊富なデータとこれまでの経緯を紹介し、日銀がしでかしたことを「内部批判者」の視点で書き綴った渾身(こんしん)の一冊である。

「金融政策は難しくて、素人にはわからない」と目を背けがちだが、無関心でいるうちにとんでもない所まで来てしまった。「私たちはこれからどんなツケを払うのか」と本の帯にある。さあ、どんなツケが回ってくるのか。まずは読んで、考えていただきたい。 記事全文>>

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世界最先端の半導体会社NVIDIAの技術の強み(その1)
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第275回

9月 20日 2024年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

oバンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住26年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

パソコンや携帯電話で数多く使われる半導体。しかし半導体の仕組みを本当にわかっている人はあまり多くない。この半導体がここ数年で急速な進化を遂げている。そしてその進化を支えているのが米国のNVIDIA(エヌビディア)社である。残念ながら日本ではこのNVIDIAの半導体技術を体系的に説明したものがない。今回、このNVIDIAの技術上の強みを、できるだけわかりやすく日本語で説明することを試みた。今回のレポートでは、まだまだ専門用語が多く使われている。しかしNVIDIAの技術の解明と一般化が行われなければ、日本の半導体技術は世界レベルからいよいよ後れを取ってしまう。読み進むのにちょっと苦労するかもしれないが、ぜひご一読いただきたい。2回に分けて紹介する。 記事全文>>

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リスク適応的マネジメント(その2)
『みんなで機械学習』第47回

9月 18日 2024年 社会

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

o株式会社ふぇの代表取締役。独自に考案した機械学習法、フェノラーニング®のビジネス展開を模索している。元ファイザージャパン・臨床開発部門バイオメトリクス部長、Pfizer Global R&D, Clinical Technologies, Director。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

◆リスク適応的マネジメント(つづき)

臨床試験の方法論として、アダプティブデザインが工夫されている。検証的試験の場合は、試験開始後の試験方法の変更を認めない、または制限する必要がある。そうしないと、試験結果の有意水準(試験結果を間違って解釈するリスクで通常5%が設定される)が保証できなくなるからだ。しかし、早期の開発段階や、感染症対策で緊急の試験が必要になった場合など、試験条件が不明確で、試験方法が試験結果に与える影響が予測困難な場合がある。アダプティブデザインでは、試験方法の変更をあらかじめ想定される範囲で認めて、変更の条件を、試験開始前に実施計画書に記載する。リスク適応的マネジメントは、このアダプティブデザインの考え方をリスクマネジメントに応用したものだ。アダプティブ(適応的)ということを、前稿では米国の思想家、ナシーム・ニコラス・タレブが提案した反脆弱(ぜいじゃく)性の考え方に即して考察してみた。間接的なデータによって危険を察知して(必ずしも正確な予知や予測ではない)、予防的な行動を行う。機械学習によって「データ」からリスクを予測するという通常の方法ではなく、「データ」利活用の新しい可能性を提案したつもりだ。従来の方法が「科学的」だとすると、適応的な方法は、実務的または実践的な方法に相当する。科学的な方法では、大量のデータを準備する時間と経済的条件が必要で、多くのひっ迫する問題に、科学的な方法が、問題解決の役に立っていないという現実がある。企業のマネジメント(経営)は、働きながら考えるので、適応的な方法と相性が良いはずだ。科学的な方法はシステム志向が強く、適応的な方法はプロセス志向が強い。 記事全文>>

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「新聞協会賞」は誰のため
赤旗の後追い朝日になぜ?
『山田厚史の地球は丸くない』第271回

9月 13日 2024年 社会

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

特派員としてロンドンで仕事をしていた時のこと。社内郵便で1通の封書を受け取った。差出人は、駆け出しのころ一緒だった社会部記者だった。

「懇意にしている検察幹部が、秘密会議でロンドンを訪れる。私的な旅行を装うため、奥様を同伴する。会議中、奥様ひとりになるので、申し訳ないが、市内の名所旧跡など案内してもらえないだろうか」

そんな内容だった。「大事なネタ元だから、よろしく」とあった。

彼は検察庁を担当していた。役所で昼間会えない検察幹部の家を夜訪ね、検察の動きを探る。家に上げてもらえる関係を作り、親しくなると相手がいなくても、奥さんと世間話をしながら帰宅を待つ。そんな夜回り取材から、ロンドンの会議を聞きつけ、「奥様、ご心配なく。うちの支局の者に案内させますから」と請け負ったらしい。 記事全文>>

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日銀の「基調的な物価上昇率」は本当に基調的なのか
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第77回

9月 09日 2024年 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

oオフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。

日本銀行は、2016年以来、「生鮮食品・エネルギーを除く消費者物価」(いわゆるコアコア消費者物価、以下「コアコア指数」)を「基調的な消費者物価」と呼び、重視する姿勢を示してきた。

「展望レポート」(経済・物価情勢の展望)の物価見通しにも、従来の「生鮮食品を除く消費者物価」(いわゆるコア消費者物価、以下「コア指数」)に加え、20年4月からコアコア指数を参考指標として掲載してきた(ただし、21年4月からの1年間は掲載せず)。

24年3月の金融政策決定会合では、消費者物価の基調的な上昇率が「物価安定の目標に向けて徐々に高まっていく」としたうえで、「見通し期間終盤(筆者注:2026年度)にかけて『物価安定の目標』が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至った」との理由を挙げ、異次元緩和を解除した。

しかし、物価の動向を客観的に眺めれば、コアコア指数が物価の「基調」を表しているようには見えない。エネルギーや生鮮食品を計算から除外するために、物価の判断が歪(ゆが)められているように見えてならない。 記事全文>>

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小澤流・営業のやり方を教えます!
その2 マーケティング・オートメーション
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第274回

9月 06日 2024年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

oバンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住26年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

コロナ禍を経てバンコック銀行(バン銀)日系企業部が新たに始めた営業方法に、オンラインを使った「マーケティング・オートメーション(MA)」がある。このMAはバン銀の系列コンサルタント会社であるバンコク・コンサルティング・パートナーズ社(BCP社)を通して行われる。まず、BCP社の生い立ちを簡単に説明しよう。

BCP社は2011年10月にバン銀系列のコンサル会社として発足した。当時は自動車産業の2次・3次のサプライヤーなど日系企業のタイ進出がブームとなっていた。バン銀としてもこうした日系企業のタイ進出支援の窓口を設ける必要がある。日本貿易振興機構(ジェトロ)進出支援室をはじめとして、すでにタイには日系企業の進出支援をするコンサルタントが数多くいた。私たちバン銀がわざわざ独自にコンサル機能を持つのも無駄である。それよりも善良で有能なコンサルと提携をしたほうが良い。 記事全文>>

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リスク適応的マネジメント
『みんなで機械学習』第46回

9月 03日 2024年 社会

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

o株式会社ふぇの代表取締役。独自に考案した機械学習法、フェノラーニング®のビジネス展開を模索している。元ファイザージャパン・臨床開発部門バイオメトリクス部長、Pfizer Global R&D, Clinical Technologies, Director。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

◆リスク適応的マネジメント

個人の栄養状態をデータによって評価して、個人の健康リスクに「適応的(adaptive)」に対処することが本稿の出発点だ。健康に配慮した毎日の調理を、体重の増減で一喜一憂するようなものなのだろうか。あえて、農作物の生産の段階から、個人の健康リスクに「適応的」に対処しようとする試みの新規性は、「適応的」というキーワードに込められている。 記事全文>>

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