古川弘介(ふるかわ・こうすけ)
海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。
◆はじめに
前稿では、日本の半導体産業凋落(ちょうらく)の原因を考えた。原因に関しては諸説あるが、湯之上隆(*注1)は、日本の半導体メーカーの「高品質病」に凋落の根本原因を見る。
1980年代に日本のDRAM(*注2)は汎用(はんよう)コンピューター向けの高品質(長寿命)製品を作ることに成功して、半導体売上の世界シェアトップに立った。その後、市場環境の変化(汎用コンピューターからパソコンへの主役交代)があり、低価格で大量供給が可能な製品が求められた。しかし日本メーカーは高品質を止められず(過剰品質)、市場ニーズに合致した製品を作り出せなかった。凋落の直接的原因は、市場変化への不適応であるが、湯之上はさらに不適応の原因を探り、「高品質病」を見いだすのである 記事全文>>