山田厚史(やまだ・あつし)
ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。
よもや「当て逃げ」の容疑者にされるとは、思いもしなかった。
咳(せき)が止まらず、熱を測ると37度2分。クルマで5分ほどのショッピングセンターにある診療所に出かけた。「インフルエンザの疑いあり。明日、コロナ感染の疑いも含め検査をしましょう」
クリニックを出たのは正午過ぎ。ふと携帯に目をやると、見知らぬ電話番号が着信履歴に残っていた。コールバックすると「駅前交番のHというものですが、うかがいたいことがありまして」。訝(いぶか)しく思いながら、「ご用件は?」
「『習志野1011』のおクルマはご主人のものですか?」
「その通りです」
「お隣に止めてあったワゴン車が擦られたようなので、来ていただけますか?」
疑いをかけられているとは知らず、二つ返事で駐車場に向かった。 記事全文>>