小澤 仁(おざわ・ひとし)
バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住26年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。
私はなるべく多くの人に会い、新しい情報を得ようとしている。私が生業(なりわい)とする銀行の貸出業務においても「損益計算書などの財務諸表を分析することで貸出判断は完結する」と信じている銀行員が大半である。しかしこの考え方は重大な間違いを含んでいる。貸したお金が戻ってくるのは将来の話であり、会社の将来像を想像するには、会社の現状把握が必要である。この現状把握は過去のデータだけでは得られない。もちろん過去のデータも重要である。過去に利益を出している会社は、将来利益を上げるための基盤が出来上がっている可能性が高い。しかしそれだけでは十分ではない。その基盤は現在でも有効なのであろうか? 会社を取り巻く環境は変わっていないだろうか? 私はこうした会社の現状を知るため、お客様を頻繁に訪問してきた。過去のデータとともに現在の生きた情報が必要なのである。こうした考え方の正当性は、私の48年間の銀行員生活で不良債権を1件しか出さなかった実績が証明してくれている。 記事全文>>