中野靖識(なかの・やすし)
株式会社船井総合研究所上席コンサルタント。メーカーから小売業まで幅広いコンサルティングフィールドを持つ。一般消費者向けの商材を扱う企業の現場レベルでの具体的な販売手法の提案を得意とする。
◆先行き不透明な時こそ「本業領域」への選択と集中を
内閣府の「法人企業景気予測調査」の発表がされましたが、2014年1~3月の「貴社の景気判断」先行きに関して、全産業のうち大企業、中堅企業は「上昇」、中小企業は「下降」という結果が提示されていました。規模が大きい企業以外では現時点の実質的な経済効果は少ない印象であり、消費税増税前の駆け込み時の供給不安や、増税後の経済的ダメージを心配されている方が多いものと思われます。
かつての増税時の傾向を商業統計からグラフ化してみると、全業界で「駆け込み」「反落」が発生していることがイメージしやすくなります。
「駆け込み対応」として検討すべきことは機会損失の回避、つまり売る物(商品、在庫など)の確保による販売機会損失の最小化がポイントになりますが、増税後に在庫を残してしまうと、手元現金が少なくなり、支払い時期に資金ショートするリスクが高まります。
現時点では、大手メーカーは増産に向けた設備投資をしていない様子なので、計画発注した会社か、規模の経済に対する支配力のある会社以外はメリットが少なく、リスクが高まる状況にあるものと想定されます。
このような状況なので、中小企業の先行き不安感が払拭(ふっしょく)できないのは当然のことと思います。このような外部環境の中で、会社を受け継いで行く立場である後継者の方々とお話する時に、「夜明け前が一番暗い」というお話をしています。
先行きが見えない現在を「日の出前」と考えると、確かに最も暗いのですが、明けない夜はないのです。このような時期に奇策で成功できる企業は少なく、各社の原点である最も強い本業領域、つまり、その企業がお取引先と約束している提供価値に集中することが大切であることをお伝えしています。
厳しい時期はリスク分散をしたくなるものですが、手元が全く見えない中、失敗しないためには「手なれた確実性のある本業領域」への選択と集中が必要になります。
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