п»ї 債権回収が滞った場合の法的手順 『実録!トラブルシューティング』第86回 | ニュース屋台村

債権回収が滞った場合の法的手順
『実録!トラブルシューティング』第86回

1月 18日 2021年 経済

LINEで送る
Pocket

東洋ビジネスサービス

1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。

タイでは長らく新型コロナウイルスの国内感染は抑えられていましたが、国境を接する隣国ミャンマーからの労働者の集団感染から第二波の感染が広がっています。地域によっては、ロックダウンやレストランの営業制限なども始まっており、在タイ日系企業各社では感染予防策の立案や事業の見直しに苦慮されているかと思います。

また、日系企業への影響もさることながら、元来財務基盤が脆弱(ぜいじゃく)なところも多いタイの地場の中小企業への影響は甚大で、多くのお客様からタイ企業の債権回収遅延に関する相談が寄せられています。今回は、債権回収が滞った際の法的手続きについてご紹介します。

◆債権督促の手順

タイでの債権に関する督促は通常、下記の順に行われます。

①担当者同士での督促(電話、メールなど)

②会社の代表者からの書面での督促(配達証明付き郵便で郵送)

③弁護士からの書面での督促(配達証明付き郵便で郵送)

③の督促状には「この書面を受け取ってから〇日以内に支払いがない場合、裁判を起こします」という文言を入れ、その日数が経ってから提起を行います。また、実際に債権回収の民事裁判を起こす際には、③の書面を裁判所に提出します。

なお、タイでは民事訴訟に勝訴し、支払い命令が出ても従わない会社が多いのが実情です。その場合、弁護士を別途起用し、資産の確認、強制執行手続きを取ることになります。

また、資産の確認に際しては、タイでは商務省の事業開発局(DBD、Department of Business Development)が企業データベースサイト「DataWarehouse」で企業の登記情報・決算情報を公開しており、過去3年分の財務諸表の入手が可能です。(https://datawarehouse.dbd.go.th/login/en)

タイの日系企業各社とも、平時から十分な与信管理の上で事業を運営されていると思いますが、昨今のコロナの感染拡大とそれに伴う長引く経済停滞により、取引先への債権管理は平時以上に注意が必要です。本件のようなトラブルに関するご相談がございましたら、是非弊社までお問い合わせください。

コメント

コメントを残す