中野靖識(なかの・やすし)
株式会社船井総合研究所上席コンサルタント。メーカーから小売業まで幅広いコンサルティングフィールドを持つ。一般消費者向けの商材を扱う企業の現場レベルでの具体的な販売手法の提案を得意とする。
◆自社の「強み」を徹底する
国内では消費税増税前の駆け込み需要が顕著になりつつありますが、ようやく経済全体としてよくなっていくイメージが広がりつつあります。1月の大手小売業実績を眺めていると、かなりの企業が前年比プラスで回っているというニュースリリースが目立ちます。
マーケット規模全体が成長しているわけではないので、駆け込み需要による一時的な増加を除いて考えると、実質的には一部の上位企業がシェアを拡大しているという印象です。マーケット全体が成熟している昨今では、シェアを獲得するために自社の競争優位性をどの領域で発揮するのかをきちんと考えなければなりませんが、その場面においても「企業としての顧客との約束」を活用することができます。
自社が選ばれている原点は、自社に期待されている約束を守っていることにほかなりません。選ばれる原点は自社の「強み」であり、それが競合他社よりも優れているからと考えると、当然その「強み」を徹底していくことによってさらにお客様から選ばれる、つまり業績が向上する流れができると考えられます。
以前、事業ドメインとしてご紹介させていただいたように、どのような企業にも①業務運営②顧客との関係③製品―の三つのいずれかに属する「強み」があります。
自社の「強み」とは、自社が選択される原点であり、それを磨きこむことによって業績が向上すると同時に、その強みを用いて顧客期待に応えることを通じて、顧客満足を向上させることができるものと考え、そのパフォーマンスをKPI(キー・パフォーマンス・インディケーター=重要業績評価指標)として継続的に追いかけていくことで、よりよい形で自社が成長し、その結果として業績が向上していくのです。
皆様の企業でももう一度、自社の優位性をきちんと見直していくことをお勧めします。
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