п»ї 立って、話して、つながって『ジャーナリスティックなやさしい未来』第13回 | ニュース屋台村

立って、話して、つながって
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第13回

5月 16日 2014年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

仙台市出身。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長などを経て、株式会社LVP(東京)、トリトングローブ株式会社(仙台)設立。一般社団法人日本コミュニケーション協会事務局長。東日本大震災直後から被災者と支援者を結ぶ活動「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。企業や人を活性化するプログラム「心技体アカデミー」主宰として、人や企業の生きがい、働きがいを提供している。

◆支え合い生きていく

これまで11回にわたって全国のコミュニティFM局に番組を配信している衛星ラジオ局「ミュージックバード」の「未来へのかけはし Voice from Tohoku」の放送分をお届けしてきたが、今回が最終回となる。
 
<ラジオ番組内容>
   東日本大震災から3年が過ぎました。1月から始まったこのコーナーは今回が最後となります。これまで被災地の今を、現地の方々ご自身が綴った思いを、生の声で語っていただきましたが、今回は私の思いをお伝えしたいと思います。

震災の時、東京で暮らしていた私は、これまでの阪神・淡路大震災などの取材経験を生かして、被災地入りし支援活動をはじめました。行政や団体の支援が行き届かないところへ出向き、必要な支援を聞き、実現させていく活動です。

この活動で多くの方と知り合い、人の優しさや勇気に触れ合いました。そして、ひとつの結論に達しました。「人はやはり支え合い、生きていくもの」だと。

今日は詩を朗読します。これは岩手県釜石市立釜石小学校の校歌です。震災直後、避難所となった小学校で、卒業式が行われました。その時、小学生も避難している人も一緒に歌い、涙し、その後も毎朝、歌われるようになった歌です。作家の故井上ひさしさんの作詞で、人が立ち、話し、つながる、という最も大事なことを表現しています。
 
朗読
釜石小学校校歌

いきいき生きる いきいき生きる
ひとりで立って まっすぐ生きる
困ったときは 目をあげて
星を目あてに まっすぐ生きる
息あるうちは いきいき生きる

はっきり話す はっきり話す
びくびくせずに はっきり話す
困ったときは あわてずに
人間について よく考える
考えたなら はっきり話す

しっかりつかむ しっかりつかむ
まことの知恵を しっかりつかむ
困ったときは 手を出して
ともだちの手を しっかりつかむ
手と手をつないで しっかり生きる

これまで、このコーナーでは宮城、福島、岩手、そして東京のそれぞれの立場から、それぞれの思いを語っていただきました。その思いはほんの一握りです。聴いていただいた皆様には、まだ声なき思いが膨大に存在することを感じていただければと思います。震災の風化を食い止めようとつくられた、この歌「気仙沼線」。この歌とともに、活動は続きます。小さな活動ですが、それが「未来のかけはし」になることを夢見ながら続けます。活動は気仙沼線普及委員会のフェイスブックでご覧ください。ありがとうございました。
(以上ラジオ内容終わり)

◆「絆」の答え

この釜石小学校の歌に触れたのは、震災から約1カ月後だった。私は歌と詩に心を打たれ、震災後に各地で現状を伝える講演を行い、シンポジウムなどで話してきたが、支援につながるようにできるだけ、この歌を紹介するように努めた。震災後の時の経過とともに「絆」という言葉が安っぽく氾濫(はんらん)する中で、「絆って何?」、という疑問に対しこの詩は、ひとつの答えを導くものとして、有効と考えたからである。そして、今もその気持ちは変わらない。

そして、この詩は「答え」だけではない。疑問形にしてみると、ぐさりと、自分の生き方を問われているような気がするのである。
 
生き生き生きていますか?
はっきり話していますか?
しっかり生きていますか?

この問いかけに、背筋がピンとするのは私だけではないと思う。

ラジオの内容はユーチューブでご覧になれます。

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