バンコク週報
１９７６年１０月創刊のタイで発行する日本語新聞。在タイビジネスマンに向けてタイの政治・経済・社会ニュースから人物紹介まで多彩なコンテンツを提供している。
◆高所作業車のレンタル トラック式の強み生かす
高所作業車などをレンタルするトーケンリースサービス（大阪府東大阪市）は２０１３年７月、初の海外進出先としてタイ法人トーケン（タイランド）を設立した。建設現場などの高所で作業を行うための特殊車両のレンタル事業を同年11月に開始。保有する５台の高所作業車は現在、バンコクや東部の工業団地内などで活躍している。
権藤拓也マネージングディレクター（ＭＤ）によると、同社の高所作業車はタイで主流の自走式（作業現場内で走行のみ）ではなく、トラック搭載式（公道を走行でき、現場から現場への移動が可能）で、作業高さは最大17～29㍍を誇る。
自走式は、別途トレーラーに載せて運ばないといけないため、作業現場の屋内などで長期的に利用されることが多い。トラック式は公道を走行できるため輸送費を抑えることができ、短期レンタルで機動力を発揮するのが特長だ。移動効率は、広大なタイで非常に重要なポイントになる。また４本の脚を出して車両のバランスをとるため安定性に優れている。
タイでは大規模な工場建設がピークを迎え、権藤ＭＤは、「高所作業車の需要は今後、長期レンタルから外壁の修理などに利用される短期に徐々に移行する」と予測。トラック式の用途は、窓ガラスの交換・清掃、塗装、配管工事、倉庫の照明設置など多岐にわたるという。
トーケンは「かゆい所に手が届く」をモットーとしており、顧客の急な要望に対応する態勢も敷いている。日系企業が多く入居する東部アマタナコン工業団地とアマタシティ工業団地にオペレーター（運転手）の宿泊所を設けており、「指定の場所に迅速に作業車を届けることができる。１日から廉価でレンタルする」（権藤ＭＤ）と胸を張る。
◆１つ以上の役割
「運転・操作するだけでなく、お客様との会話を大切に」と、権藤ＭＤはオペレーター以上の役割を社員に期待。「あの運転手はよかったと指名が入ることがあり、彼らのやりがいにもつながる」と相乗効果を狙う。
車両の故障発生時の対応も徹底。油圧ポンプや転倒防止センサーの誤作動が起き、「高さ27㍍（ビルの９階相当）で、作業員がカゴ（バスケット）に取り残された状況を想定した対処法などを安全教育している」（権藤ＭＤ）。また、ＧＰＳ（全地球測位システム）で運転手の勤務も管理している。
一方、乗り越えなければならないハードルも少なくない。日本では９割以上の顧客が自ら運転する“レンタカー方式”だが、タイでは機械が壊れて返ってくるリスクが高く、運転手付きが当たり前。オペレーターの質がサービスを左右することになり、安定した優秀な社員の確保が課題となっている。
◆大胆かつ細心に
権藤ＭＤは、タイ市場において高所作業車を現場で利用したい中小企業（ＳＭＥ）は少なくないとみる。「一度レンタルして幅広い使用法があることを認識してもらい、大切なリピーターを増やしていきたい」と抱負を述べる。
今後の目標は保有台数を増やすこと。「経営を安定させるには、自転車と同じである程度のスピードと規模が必要となる」と、多少のリスクを冒してでも会社の規模を大きくする時期がくると予測する。ただ、「顧客が何に困っているかをまず把握することが大事」と、権藤ＭＤは市場の需要動向を先読みしながら「無茶をせずに、タイで長く息ができる商売がしたい」と決意を示す。
◆わが社の製品・サービス
スカイマスターSK-22A （写真左）
「弊社の『スカイマスターSK-22A』は、コンパクトなシャシーへ架装することで、容易に狭い道路や現場への進入が出来ます。建設現場から街中の限られたスペースで、各種作業時にお客様のお役立ち致します。作業高さは24㍍になります」（権藤ＭＤ）。
スカイボーイAT270TG （写真右）
「『スカイボーイAT270TG』は、最大作業高さが29㍍の高広域作業マシーンです。ビルや大型施設へのアプローチを可能にする頼もしい味方です」（同ＭＤ）
長くできる商売がしたいと権藤ＭＤ
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