内田美和(うちだ・みわ)
中堅中小企業のM&Aアドバイザリー業務、地方銀行の取引先食品メーカーを対象とした展示会企画・運営・海外輸出サポート業務、飲食店運営などに従事。現在は販路開拓、商品開発を中心とした地域プロデュース業務に従事し、バンコック銀行日系企業部の日本サイドの食品関連サポート業務、新日本スーパーマーケット協会アドバイザーを兼務
タイの富裕層向け会員制クラブである「バンコククラブ」の会員向けのワインテイスティング会で7月24日、日本ワインがお披露目された。このイベントは、タイの日本大使館やジェトロにもご後援いただき、佐藤重和大使や井内摂男所長らにもご出席いただいたほか、バンコック銀行の取引先である日系企業の代表者もご招待し、100人以上が来場する大変盛況な会となった。
◆タイ人をうならせた日本のワイン
タイではまだまだ未知の日本のワインを広めるため、それぞれのワインに合う日本食の一品料理とともに味わっていただくべく、バンコクの老舗の日本食レストラン「葵」に新たな日本食の開発をご協力いただいた。それぞれが互いに香りや味を高め合う組み合わせで、「すばらしいマリアージュ」が完成した。
北海道の北海道ワイン、日本清酒、山梨県の白百合醸造、まるき葡萄酒、宮崎県の都農ワインのそれぞれのワインが、ワイン好きのタイ人富裕層をうならせた。
濃い味を好むタイ人が、果たして日本のワインを好むのかという不安をよそに、来場者の評価は高く、「日本のワインがこんなにおいしいことを知らなかった」「日本食だけでなく、どんな料理とも合いそう」との声も聞かれ、味についての不安は解消された。
一方、イタリアワイン、フランスワイン、ニューワールドワインなど他の国からのワインも多く輸入されているタイでは、ワインを好む富裕層には、既に価格の基準が認知されており、その中で日本ワインの価格に対する意見は分かれた。
今回提供したワインの価格帯は、タイでの販売価格で3千~7千円。イタリアワインやフランスワインの感覚であれば妥当なところであるが、ニューワールドワインの感覚であると高いと感じる。まだタイでの認知度が低い日本ワインがどこに位置づけられていくのか、むしろ位置づけていくのか、今後の動向が気になるところである。
3千円から7千円のワインとなると、やはりターゲットは絞られる。そのマーケットをいかに攻めるか。今回のワインテイスティング会は日本のワインを知っていただくには絶好の機会であり、富裕層のワイン好きの中では、日本ワインもタイのテイストに合っていることが分かった。
◆絶好のマーケティングの場
しかし、「日本ワインがタイでウケル」ということではない。他国のワインと一緒に日本ワインが並べられたときの日本ワインに対する反応を見ていく必要がある。
このような場は日本の食品メーカーにとっては、絶好のマーケティングの場である。自社商品がどこをターゲットに、どれくらいの価格で、どれくらいの量を販売できる可能性があるのかを肌で感じ取ることができる。
また商品のストーリー、思いを相手にしっかりと伝えることのできる場でもある。同様に、商品購入者にとっても、生産者(造り手)の顔が見える、思いが聞けるというのは大事な要素であり、商品を購入する決め手にもなる。
実際に、今回現地で商品説明を行った都農ワインの赤尾誠二氏の周りには人だかりができ、商品についての質問が終始飛び交っていた。こうした中から、ファンが生まれるのだと思う。海外進出や輸出を検討する場合は、現地に足を運び、しっかりとしたマーケティング調査が必要だと再認識した。
【今回出品された日本ワイン】
北海道ワイン
http://www.hokkaidowine.com/index.html
日本清酒
http://nippon-seishu.net/
白百合醸造
http://www.shirayuriwine.com/
まるき葡萄酒
http://www.marukiwine.co.jp/
都農ワイン
http://www.tsunowine.com/
コメントを残す