東洋ビジネスサービス
1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。
今回は、これまでも何度か紹介してきた日系企業とタイ企業との合弁会社のトラブルについて、またまた警察を巻き込んだケースを紹介します。
ある金曜日の午後、留置所から電話をかけてきたのは、タイ側の合弁パートナーとのトラブルを抱えていた日本側の現地法人社長のTさんです。「普段通りに仕事をしていたら突然警察官が会社にやって来て、車で留置所に連行されてしまった!」と必死の声です。連行された根拠はタイ側パートナーの訴えによるものとのこと。T社長がタイ側パートナーに借金をして、その借金が返済されていないという訴えだそうですが、警察に捕まるという事態に発展するとは思いもよりませんでした。
確かに借金の返済が遅延していたので、タイ側パートナーから催促されていたのですが、話し合いの場を持たずにいきなり逮捕というのはあまりにも厳しすぎます。警察にはタイ語の書類を見せられましたが、正直何が書いてあるのか、何の書類なのか見当もつきません。しかも、近くに警察官が1人もおらず質問すらできない状況です。これは明らかに、タイ側パートナーが意図的にT社長を困らせていると思わざるを得ません。
◆受付時間終了間際に滑り込みセーフ
弊社の弁護士はすぐにでも救出に向かえるよう出動準備を整えますが、まずは第一の難関です。留置所の場所がわからないのです。
T社長は「車で連れて来られたので場所はどこだかわからない。担当官は見当たらないし、誰に聞いても何も答えてくれない」と言うばかり。留置所からの釈放手続きは決められた時間内に行わなければなりません。その日は金曜日のため午後4時までに手続きをしなければT社長は月曜日の午前9時まで留置所で3泊しなければなりません。タイの留置所は環境が悪いことで有名ですので、T社長にとってはとても長くてつらい週末になります。
こうなったら弊社としても何としてでも留置所の場所を特定して、すぐにT社長を救出しに行かなければなりません。いかなる手段を使ってでもT社長がいる留置所を特定しなければならないため、国家警察本部へ協力要請を行いました。
そもそもタイ側パートナーの訴え自体が明らかに嫌がらせであり、警察官のT社長に対する対応が不適切である旨を説明したところ、すぐにT社長の携帯電話から留置所の場所を割り出してもらいました。
場所さえわかればこちらのものです。すぐに弊社の弁護士が車で向かいます。無事に受付時間の終了直前に留置所に到着し、警察官ともきっちり話をつけました。T社長が週末を自宅で過ごすことが出来たことが今回の一番の収穫です。
◆普段から十分なコミュニケーションを心がける
皆様、もしもタイ側パートナーとの間でトラブルが発生しましたら、金曜日の午後はお気をつけ下さい。今回は借金返済に関する訴訟でしたが、就労許可証なしでお仕事をされている場合も簡単に警察に捕まってしまいます。普段からタイ側パートナーとのコミュニケーションを十分にとってトラブルにならないようにするという心がけが大切です。
コメントを残す