東洋ビジネスサービス
1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。
今回は、タイで定められているお酒が飲めない日、アルコール飲料を買えない時間帯に関するトラブルついてご紹介します。
日本から来た重要なクライアントの接待時に、いつもの通りに「とりあえずビール」を注文したところ、なんと「今日はお酒は出せません。」との返事です。タイ人ウェートレスと押し問答をしてもらちがあきません。メニューを確認すると「禁酒日のためお酒は提供できません」と確かに書いてあります。
毎回ご紹介しているような会社の経営を揺るがすようなトラブルではありませんが、重要な接待時にビールで乾杯できないというのもなかなか大問題です。ビールがなければ商談が成立しないこともあるかもしれません。
◆仏教祝日と、選挙の前日と当日が「禁酒日」
一体全体、「禁酒日」とは何なのでしょうか。タイの禁酒日とは、アルコールの販売や、バーなどの営業を禁止している日です。2015年はタイ全土で4日間の仏教祝日が禁酒日となっています。それに加えて、選挙が行われる際には、選挙の投票日の前日、当日が2日間禁酒日となります。
国王誕生日、王妃誕生日はかつては禁酒日でしたが、現在は法的には禁止されていません。しかしながら過去に禁酒日だったことからでしょうか、販売自粛の動きもあります。お出かけやお酒の買い出しの際にはお気を付けください。
禁酒日には、バーやクラブなどのいわゆる飲み屋さんは閉店しています。レストランは営業自体を休業してしまうこともありますし、営業はしているけれどもアルコール類は提供しないこともあります。
昔は紙コップなどでお酒を出していたという話も聞きますが、最近は厳しくなっているようです。かくいう私も禁酒日であることを知らずにビールを注文してしまい、マグカップのような泡の見えないコップでビールを頂いたことがあります。
禁酒日はアルコール販売の禁止なので、購入済みのアルコール類を自宅で飲んでいる分には全く問題ありません。しかし、禁酒日以外でも、スーパーやコンビニではアルコールの販売時間が定められています。午前11時~午後2時、午後5時から午前0時まで。一般的なランチタイム、ディナータイムでしょうか。この時間を1分でも過ぎるとレジでアルコール類は没収されてしまいます。
こんなところではやけに時間に厳しいタイ人です。ちなみに飲酒年齢は20歳から。20歳未満へのアルコール類の販売は禁止されています。
◆日本人駐在員には格好の「休肝日」?
このように日本人からすると大変厳しく感じられるお酒への姿勢ですが、根底には仏教の影響があります。国民の大半が信心深い仏教徒であるタイでは、飲酒は基本的に良くないこととして扱われているのです。
タイ人にとっては宗教的意味を持つ禁酒日ですが、日本人駐在員にとっては丁度良い「休肝日」となっているとも聞きます。なかなか慣れるまでしっくりきませんが、毎日のアルコール販売禁止時間も、禁酒日も前もって分かっていることです。晩酌のビールの買い出し時には、時間と日付を確認することをお忘れなく。
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